チキータのコツ

現代卓球の革命的技術であるチキータ(台上バックハンドドライブを含む)の要点は、如何にして、切れた下回転を持ち上げられるだけのインパクトのスピードを出せるかだ。

そのための重要なコツを物理的に考えると、ラケットの先端にボールを当てなくてはならないはずである。スイングの回転半径が小さいチキータでは、手首を使うサービスと同様に、ラケットの根本と先端ではスピードが大きく違うはずだからだ。

したがって、チキータが上手な選手はラケットの先端にボールを当ててインパクトのスピードを出しているに違いないのだが、私はそれを確かめたことはなかった。

そこで、卓球王国から発売されているDVD『松下大星の裏面打法』に収録されている、ハイスピードカメラによる撮影部分全6カットのインパクトを確認してみた。結果は写真の通りだ。

見事に先端だ。編集部が、先端に当てたカットだけ選んで使った可能性はない。このDVDの中で「先端に当てる」というコツは一切説明されていないし、それを示す静止画もないからだ。

ちなみに、同じDVDの中で、ブロックをする場面の写真が下だ。

ボールの粉がついている位置が若干内側であることがわかる。チキータ以外の打法では先端に当てることは難しい上にメリットがない。チキータは台上の短いボールに対してするものだ。短いボールはかならず遅い(短くて速いボールは物理的にあり得ない)ので、確実にラケットの先端に当てることができるというわけだから、うまくできているものだ。

勘のよい若者たちは無意識にこういったコツを体得するのだろうが、これから挑戦しようという年配者は、このことを意識する必要があると思われる。私もこれを意識すると、ときどきできるので間違いない(笑)。

チキータのコツ” への 9 件のコメント

  1. 普通に為になる情報でびっくりしました。チキータを打つ時には意識してみます。
    話は変わりますが卓球でマニアと言えば道具マニアが大半で、その後に大会記録マニアなどが続くと思うのですが私は最近地元の大会でルールマニアに遭遇しました。まず試合が始まる前にカウンターをめくり点数、セットを全部0にして準備しておくことも許してくれません。試合が始まっても点数をきちんとコールしなくては苦情を言われ、どちらの点数を先にコールするか間違えると容赦なく指摘されてしまいます。年配の方なのですが道具にもおそらくこだわっていてカット用のラケットに両面テナジーでした。そして卓球の腕前ですが、下手です。
    ちなみに団体戦しかない大会だったのですがルールマニアのチームは5人必要なところ2人しか揃わず、その2人が無意味な消化試合を終えたところで失格扱いになり帰っていきました。去り際に「試合開始五分前に揃わなければ失格とルールで決まってるんだ!」などと何故かやけに偉そうにおっしゃっていかれました。
    やはり卓球には魔物が潜んでいます。

    1. 恐ろしく面白いですねそのルールマニアの方。絶対にインタビューしたいです。しかしその口実が難しい・・・。
      ところでカウンターをゼロに準備することを許さないとは、いつゼロにするのでしょうか?

      1. 試合前のフォア打ちが終わり対戦相手同士で握手を交わした直後くらいのようです。
        私はフォア打ちやってる間にカウンターをめくり準備していたのですが「もう試合開始か⁉︎カウンターめくるのは試合始まってからだぞ。」などと言われ試合が始まってからも点数をコールしなかったところ「点数は言ってくれないのか?まぁいいよ。しょうがないな!」と言われる始末です。
        しかし大声で点数をコールしていたら「審判いいぞ!」と褒めて頂きました。時々点数の順番を間違え「言う順番が違うなー」と指摘されましたが。聞いたところによると、その方は中学生などにルールを教えるのが好きらしいです。重ねて申し上げますが卓球の腕前は下手です。

        1. カウンターを準備するタイミングまでルールで決まってるんですかね。さすがにそれは誤解のような気がしますね。
          それとも「試合が始まる直前まで何人もカウンターをめくってはならない」とでもあるのですかね。いやー面白いですね。

          1. カウンターを準備するタイミングなどについてですが、ルールではないものの、何か決まっていたように記憶しています。
            日卓協で販売している「日本卓球ハンドブック」だったか「卓球競技の審判法 /審判員の手引き」だったかに載っていたような気がします。
            ルールとかこういう審判法とかをインターネットで公開すればいいような気がします。著作権とかの関係で載せないのでしょうかね。
            うちの地区の学校の先生方は恐らく誰一人ルールブックを持っていない(正式ルールを知るすべがない)まま指導に携わっているのではないかと思います。

  2. ご無沙汰しております。勉強になりました。早速、今日の教室で試しました所、とてもよくもう少しで何かがつかめそうです。

    先日、全日本ホープス(神戸)の時に、王国の友さんとジャイロ回転や卓球の回転軸について夜中の3時過ぎまで議論してました(次の日、友さんは風邪をひきました笑)。 やはり、感覚だけではなく、物理的にとか、科学的にとか必要であると感じました。

    ラリー中などに、ふわっと上がってきた緩いチャンスボールを打つときも先端の方に当てるとボールが飛ぶように感じますが、それはいかがなものでしょうか?

    1. ご無沙汰しております。お役に立てたようでなりよりです。
      他の打法でも、手首を使う打ち方の場合には有効だと思います。ただ、せっかくのチャンスボールをミスをしては何にもなりませんので、どっちみち点を取れる威力のあるボールを打てる場面では難しいことをしない方が良いような気がします。
      友さんとは私もジャイロの話をして紛糾しましたねえ(笑)。
      友さんが「右利きの選手がボールの右側をとらえるしゃがみ込みサービスで相手コートで右に曲がるジャイロサービスを出すことが可能」という考えなのに対して、私は「今の卓球のルールでは物理的に絶対に不可能」という考えでした。
      楽しいですねこういう話は。

      1. ありがとうございます。結局、友さんも私も、ジャイロは出せないんじゃないかということで解散しました。

        理論的に説明していただけるとわかりやすいです。

        話は変わりますが、先日、荻村氏のお孫さん(現在大学生)とお会いする機会がありました。ロビングする姿が(シェークですが)、おじいちゃまそっくりで、驚いて心臓が止まりそうになりました。是非、機会がございましたら、対談、対決してみてください笑

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