神業

会場がどよめいた水谷の神業がこれだ。
吉村がカット性ブロックを水谷のフォアサイドに絶妙に送ったのだが、水谷は瞬間的に、このボールが、ネットを迂回して直接相手のコートを狙える点まで行くボールであると判断し、故意にボールの近づくのを遅らせてボールがその位置に来るのを待ち(ビデオを見るとそれがよくわかる)、見事、直接相手のコートに叩き込んだ。

このようなボールはフライトのほとんどが台の外なので、前後左右ちょっとでもズレると入れることはできない。しかも水谷は、軌道の頂点を台の高さからわずかボール1個分だけ上にコントロールしたため、ボールはほとんど弾まずに台の下に落ちていった。真ん中の写真は、ボールが台に弾んだ後、もっとも高くなった瞬間の映像だ。なんというコントロール!

試合には負けたが、全日本選手権決勝の最終ゲームでこのボールを打っただけでも水谷はひとつの偉業を成し遂げたと言ってよいと思う。