先日、新宿で石川という学生時代の友人に会った。めずらしく卓球関係者ではなく、クラスの1年後輩で、一緒に映像作品を作った仲である。この作品があまりにもひどく、私はなかったことにしたいのだが、彼にしてみればそれが唯一の作品なので「そんなこと言わないくださいよ」なんて言う。実際、彼も奥さんにその作品を見せて「よくもこんなものを見せてくれたわね」と怒られたというほどひどい作品なのだ。
彼は現在、ある大手企業で営業をしているのだが、まったく出世の見込みがないという。彼によれば、営業で出世するためには4つの要素があるそうだ。それは、①知識、②経験、③人柄、④安定感 だそうな。そして、彼自身はなんと、この4つのうちひとつとして自分には当てはまらないというのだから豪勢な話である。確かに営業には最近移ってきたばかりだから知識も経験もないだろう。安定感に問題があることは学生時代の彼を知っていれば納得がいく。しかし人柄くらいはまあ「普通」なのでなんとかならんのだろうか。いまさら1つだけあっても焼け石に水だが。
ちなみに学生時代の石川のクラスには、もう一人優秀な石川というのがいて、二人を区別するために、優秀な方が石川A、彼は石川Bと呼ばれていた。このBに、単なる識別以外の意味が込められていたことは、本人だけが知らされていない。