8月27日、岩手県大船渡市で卓球大会が行われる。大会と言っても競技志向ではなく、楽しい卓球イベントだ。
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震災の被害を吹き飛ばすように、卓球で一日楽しく盛り上がろうという企画だ。寄付も募っている。
主催者のひとりである江戸さんという方は、ボランティアで数々の卓球大会を精力的に企画している、名古屋在住の会社員だ。季刊『卓球人』という冊子にも投稿しているので以前から知っていたが、数年前に卓球関係の集まりで初めてお話しをした。話してみるとなんと江戸さんは私と同じ岩手県出身であり、さらによく聞くと高田高校出身で私の1学年上だった。高田高校は私の時代にも強く、江戸さんの学年の小沢というカットマンが県優勝したことを覚えている。高田高校に練習試合に行ったこともある。しかし悲しいことに、江戸さんも私もお互いのことをまったく覚えていないのであった(どっちも弱いってことだな)。
高田高校は、今回の震災で津波が校舎の3階まできて壊滅したにもかかわらず、インターハイ予選で奇跡の優勝をなしとげている。その当日、このブログの読者だという教員の方から「卓球の試合を見て初めて涙が出ました」「卓球王国でぜひ取り上げてください」とその報告のメールが来た(今野編集長に転送したらすぐに取材を決定した)。私は、江戸さんが高田高校出身であることを思い出し、お祝いのメールをしたのだった。ちなみに私の母校、水沢高校はその高田高校に準決勝で0-3で負けているので「悔しいっ!」とも添えてやった。
大会名にある「えんずい」は、「しっくり来ない様子」を意味する岩手・気仙地方の方言だとあるが、仙台でも同じ意味で「いずい」と言うし、私の郷里では「いんじぇ」と言う。用法としては、服を後前逆に着てしまったときとか、靴に小石が入ったときとか、組織でメンバーの考えが微妙にちぐはぐしていて進めづらいときとか、そういうときの気持ち・感覚を一言で表現する言葉だ。「しっくりこない」と標準語で言ってみてもちょっと違って、まさに「いずい」という以外に表現のしようのない便利な方言なのだ。「居づらい」が語源のような気もするが。
大会要項のどこにも書いてはいないが、今回の企画は、江戸さんにとって特別な意味がある。江戸さんは津波でご両親を亡くしたのだ。だからこの大会は、その両親へのオマージュなのだ。