どちらの頭が固いか

よく、科学者は頭が固いと言われることがある。とくに、超能力や幽霊などのオカルト談義になると、そういうものを証拠がないと認めない科学者に対して固いと表現されることがある。しかしこれは事実だろうか。

興味深い実験がある。ある大学で、学生を集め、占星術を信じるグループと信じないグループにわけ、それぞれに対して、その信念に反する実験結果を捏造して見せたのだ。つまり、占星術を信じるグループには、星座と運勢が関係がないデータを作って見せ、信じないグループには逆のデータを見せたわけだ。

実験の目的は、これらの人たちが、自分の信念と異なる事実を突きつけられら時に、信念を変えるのか変えないのかを見ることだ(それにしても意地悪な実験だ。さすが科学者)。

結果は見事に分かれた。占星術を信じないグループの人たちの多くは信念を変え「占星術には何かあるかもしれない」と考えを改めたのだ。それに対して、占星術を信じるグループの人たちは「これはたまたまだ、データがおかしいんだろう」と言う具合にデータを認めず、信念を変えることはなかったのだ。

どちらが頭が固いのか明白だろう。オカルトを信じている人たちは、どんな否定的な証拠をつきつけられても、それとは関係なく信じたいから信じるのである。ただし、オカルト否定派の中にも理由もなく闇雲に否定する人たち(大槻教授みたいに)がいるが、これも否定したいから否定しているだけであり、信念の方向が違うだけで信者と同じ穴のムジナである。

そもそも、科学者の仕事は定説を覆す新事実の発見が主なわけだから、頭が固くては科学者としても全然ダメなのだ。だから、科学者が頭が固くて理論に合わないことを認めないというのは間違いだ。科学者の神様は信念や理論ではなくて「事実」なのだ。