雨のグランドキャニオン

グランドキャニオンには飛行場があって、そこで着陸をして今度はバスで移動をする。

マサーポイントと呼ばれる絶景のところがあり、そこで巨大な景色を見られるはずだったのだが、なんと雨が降っていて対岸が見えない。対岸まで39kmもあるという途方もない大きさの谷のはずなのだ。近くの下のほうは見えるのだが、視線を水平にすると何も見えない。なんとも残念だ。ちなみにグランドキャニオンの長さは400kmだというが、これはどうせ見渡すことはできない大きさなのだからどうでもよい。

本当はもう一ヶ所回るツアーだったのだが、雨のため危険な状態なので、この一ヶ所で2時間も過ごすことになった。過ごすといっても、写真の通りほとんど何も見えないので、土産物屋を見たりコーヒーを飲んだりして時間をつぶした。

日本から来た客の中には、ヘリコプターで谷を回るツアーに参加を予定していた人たちもいたが、それもすべて中止だった(料金は返すと言っていた)。その落胆に比べればマシだなと思うことにした。

そういうわけで、雨のグランドキャニオンはさっぱり面白くなかった。

いざグランドキャニオンへ

20人乗りくらいの飛行機でグランドキャニオンに向かった。

途中、下界にグランドキャニオンが現れたが、比較できる物がないのでその大きさがよくわからない。正直、小さく見えるので、あまり脅威を感じない。もっと低空飛行をして両側に崖が迫るほどなら良いのだろうが、そういうことはしないようだ。

同窓の運転手

ホテルにバンで迎えに来たツアーの人がいきなり日本語で「イトウジョウタさんですね」と話しかけてきたので驚いた。日本語ツアーはちょっと高かったのでケチって英語ツアーにしていたので、得したような気がした。

バンは6ヶ所くらいのホテルを回ってツアー客を乗せ、ラスベガスの中心地から30分ぐらい離れたボルダーと言う町の空港に向かう。そこからグランドキャニオンへの小型飛行機に乗るのだ。

私は最初にバンに乗ったので助手席に座ったため、運転手さんが「日本語を話すのは久しぶりで嬉しいです」としきりに話しかけてくる。この方の奥さんは白人でアメリカにはもう30年近く住んでいると言う。日本人男性と白人女性の結婚は珍しいので経緯を聞くと、もともとは日本の銀行のニューヨーク支店に赴任していたのだが、その職場で奥さんと知り合って結婚をし、帰任を命じられたのを期に退社して貿易関係の会社を作ったのだという。会社も軌道にのったので息子さんにやらせることにして53歳にして引退をしたという。毎日ゴルフとギャンブルをしていたがどうにもヒマでたまらず、知人がやっているこのツアーをヒマつぶしに手伝うことにしたという。日本人客が多いので、その担当らしい。この日も6ヶ所まわったうち、日本人客が3組だった。

このフジモトさんという運転手さんは熊本出身だという。私はアメリカに来てからなぜか九州の人に会うことが多い。先日のロサンゼルスの足立さん、スタンの奥さんである郁美さん、他にもブログを読んでメールをくれた九州の人が二人もいる。偶然に決まっているのだが、ちょっと面白い。私は東北出身だというと、実はこのフジモトさん、東北大に通っていたという。私が同窓であることを言うと「同窓のお客さんは初めてです」と非常に驚いていた。私も同窓の運転手さんは初めてだが、そもそも運転手さんと大学の話をしたことがないのだから当然だ。

もしかして卓球部の先輩だったりしないかと、クラブの話を振ってみたが、さすがにそれはなかった。そんな話をしているうちに、ボルダー空港に着いたのだった。

ホテル

ホテルは、4つ星なのに$39という、破格の安値をインターネットで探して予約したのだったが、フロントで「コートヤードルーム」と案内されて愕然とする。コートヤードといえばアメリカ中にある、悪くもないけど良くもないただのホテルの名前だ。格安だという高級寿司屋に入ったらメニューに「セブンイレブン寿司パック」と書いてあったようなものだ。

一旦、建物を出て隣の建物に行けというので行ってみると、まるで合宿所のようなところで愕然とする。ドーサンのコートヤードよりみすぼらしい。$39なわけだ。そのくせ「サービス料」として一泊$16が加算されるというのだからわけがわからない。なんでそんな重要な情報をネットに書かない?安いと思って中心地から離れてタクシー代もかかるところにしたのに、もしかするとこれも的外れな節約だったのかもしれない。くよくよしたくなるが考えないことにする。

こんなホテルでも、本館にはちゃんと賭博場があった。

明日はグランドキャニオンに行くために4時起きなので、シャワーも浴びずにそのまま寝た。下着の替えも忘れてきたし、もうどうでもよい。

夜のラスベガスをさまよう

ズーマニティが終わったのは0時頃だった。ここからタクシーでホテルに行けばよかったのだが、急に金が惜しくなってバスを使うことにした。結局わけのわからないバスに乗ってしまい、運転手に確認しようにも「話しかけないでください」と書かれていて防犯のため完全に隔離されていて聞くこともできない。ラスベガスの夜を満喫するのも面白かろうとそのまま乗っていたら、なんと終点のバスターミナルに着いてしまい、恐ろしくなった。何人かの運転手に聞いて別のバスを2台乗り継いでホテルに着いたのは2時頃だった。

こういう、脈絡なくケチになったり太っ腹になったりするところが、自分でも一貫性がなくてポイントがずれてるなあと思うのだが、仕事じゃないのだからどんなに的が外れていてもいいのだ(これが家族旅行だと大変である)。

ラスベガスは、タクシーどころかバスも24時間営業で、15分おきに走っている。中心地にあるホテルではすべて一階のフロアが巨大な賭博場になっていて、もちろん24時間やっている。日本で言えば、すべてのホテルの一階がパチンコ屋になっているようなものだ。ホテルの外見もみんな何事かと思うような大きさで、自由の女神やらローマ神やらピラミッドやらが闇雲に建てられていて煌々と照らされている。エネルギー問題を考えている様子は少しもない。

出だしからつまづく

まずドーサンからの飛行機が2時間遅れた。何の問題があるのかわからないが、機内でずーっと2時間待たされた。アトランタでの乗り継ぎ時間が2時間しかないからこれでは理論上は乗り継ぎ不可能だ。このフライトを逃すと、次のフライトはラスベガス着が10時過ぎになって、この日の予定である3つのショーを見られなくなる。

とはいえ、ドーサンからの飛行機が遅れたことを考慮して待っていてくれるかもしれないし、そっちはそっちで別の理由で遅れるかもしれないのだからチャンスはある。全力で走ってゲートに着くと、まだ飛行機は出ておらず、間に合った。「何とかなるもんだな」と喜んでいたがさっぱり飛行機が飛ばない。勝手ながら「俺が乗ったんだからすぐに飛んでくれ」と思ったが、結局1時間半遅れての出発になった。

当初の予定ではラスベガス着が6:15で、タクシーをすっとばして7時からのシルクドソレイユのビートルズLOVEを見ようと思っていたのだが、チケットをよく見るとラスベガス着は6:15ではなくて6:51であることが判明。もともとビートルズは見られなかったのだ。飛行機が遅れたことに対する悔しさは和らいだが、自分のマヌケさにやり場のない怒りを覚える(本当にやり場がない)。

まあ、どっちにしてもラスベガス着は8時半頃になるので、9時から見る予定だったマジックショーだけは確実に見るよう体勢を整えた。ラスベガス空港につくなりトイレでメガネを外してコンタクトレンズを入れ(よく見えるようにだ)、タクシーを飛ばして会場のホテルに向かったが、係員いわく「今日はやってません」がくっ。サイトにそんなこと書いてなかった・・。

じゃあ、ビートルズLOVEの10時からの公演を見ようと思い、係員がくれたラスベガス全体のショーのリストを見ると、ビートルズLOVEは今週は休演であることが判明。何時に来ようが明日来ようが見られなかったのだ。いやもう、悔しいどころかバカだよこれじゃ。

敗因は、私が情報を得たサイトは、通常の休演日などの情報は網羅していたが、個別の休演日については考慮をしていないサイトだったことだ。

初日に3つのショーを見るはずたったのが2つダメになったので、3つ目に見る予定だった10:30からのズーマニティを見ようとしたらそれは10:00からになっていた。これじゃ9時からのショーを見ていたら見られなかったじゃないかよ。破綻だ。完全に破綻している。

ともかく10:00からのズーマニティをやっと見ることができた。ズーマニティはシルクドソレイユがやっているショーで、サーカスやらトークやがら混じったショーだ。18歳以上の限定のショーなので、感想は書かない。コンタクトレンズの調子が悪くて途中から猛烈に痛くなって外したが、カバンをフロントにあずけていて入れ物がないのでずっと手に持っていた。まったくなんでコンタクトレンズをつまんだだままショーを見にゃならんのだ。

だいたい私はミュージカルや踊りがとても嫌いで、英語もよくわからないし、どうしたって面白くないはずなのだ。ギャンブルもしない。それどころか旅行自体があまり好きではない。それではいったい何しにラスベガスに来ているのかというと、グランドキャニオンを見るためであり、ショーと卓球クラブはそのついでなのだ。もっとも、大自然もあまり興味はないのだが、グランドキャニオンほど雄大なら感動するのではないかと思ったことと、もうアメリカには来ないだろうから、見ておいた方がいいのではないか、というような義務感で無理やりに来たのだ。あまり気が進まなかったくらいだ。

ちなみに、ラスベガスでは空港からすでにルーレットなどの賭博機器が置いてあった。さすがである。

ラスベガスに行った

金曜の午後から会社を早退してラスベガスに行ってきた。金曜の夕方6時にラスベガスに着いて、日曜の朝6時に発ってくる強行スケジュールだ。この日程で、グランドキャニオンの日帰りツアーに参加し、ショーを7つ見て卓球クラブも訪ねるというまさに分刻みの計画だ。これが遊びだからいいようなものの、仕事だったら会社を訴えているところだ。

さあ、このスケジュール通りいくだろうかと、あらかじめ同僚に計画を話して興奮を高めていたのだが、結果はまったく予定通りいかず、しかし期待していたのとは別の素晴らしい旅行になったのだった。

卓球選手のメガネ

今月号に、卓球選手のメガネという題で原稿を書いた。その中で日本最初の世界チャンピオン、佐藤博治がサングラスだったのではないかと書いたが、それが下の写真だ。他の写真も同様に暗めになっている。本当にサングラスだったのではないだろうか。だからどうだってわけではないが。

あと、中国の世界チャンピオン、邸鐘恵(61年)と葛新愛(79年)だ。原稿に書いたことの意味が分かるだろうか。

プロ卓球誕生は1953年

さらにKOさんから1953年の記事がきた。
それにしても、1968年の新聞にも日本初のプロ卓球とあるし、どうも、プロ卓球を始めるたびに過去のことを忘れて「日本初」としているようだ。