ハゲの損害賠償

母方の祖父はツルッパゲだったし、母の弟はかなり若いときからハゲていた。彼によると、ハゲる前の30代の一時期、とにかく猛烈に頭がかゆくなったのだという。私が「掻いたからハゲたの?」と聞くと「いや、あれはハゲようとしてかゆかったんだ(方言:いや、あいづぁハゲんぺってかいがったのだ)」と語気を強くした。まだハゲていなかった私はその表現が面白いなあと他人事のように聞いた記憶がある。

私は見事にその血を受け継ぎ、30代半ばから急速にハゲだした。実家に帰るたびにどんどんハゲていく私を見て父は「うちにはハゲている人はいないから、お前はお母さん方の血でハゲたんだな。お母さんの実家にハゲの損害賠償してもらえ」とバカにした。

父も結構面白いことを言うもんだと思った。