「ハゲだけじゃない」説

昨年の春、10年ぶりぐらいで大学時代の研究室の集まりがあった。私はめまぐるしくハゲていたので、みんなから「変わったな」と言われた。宴会は進み、ひとりづづのスピーチとなった。それでは「平成元年卒業の伊藤条太君」と司会者が言って私がスピーチを始めると、遅れてきて私の隣に座っていた元秘書の山田さんがテーブルに伏して笑い始めた。スピーチが終わってから席につくなり事情がわかった。こやつ、私が誰なのかがどうしてもわからず、私と話している間、「目の前で親しげに自分との思い出話をする男がいったい誰なのか」を思い出そうと冷や汗をかきながら必死になっていたというのだ。それも30分間もである。バカにした話だ。だいたい彼女の勤務年数はわずか4年ぐらいで、その間に世話をした学生など10人ぐらいしかいなかったのだから「誰なのか」もクソもあるまいに。しかも「条太くんは来ないのかな」とも思っていたというのだから呆れるではないか。

彼女のボケぐあいは特別だが、実は私はこれと似た経験はあちこちでしているのだ。これに対して妻は言う。「これは絶対ハゲだけじゃないよ。骨格変わったって。別人だもの。」

そうだろうか。そこで91年当時と現在の写真を並べてみた。91年当時の髪型をそのまま現在の写真に貼ったらそんなに変わってないはずだ。と、どうなるか試してみた。カツラのシミュレーションにもなって丁度いいだろう。

結果が下である。骨格どうのこうの以前に、とにかく気味の悪いカツラ男が登場してしまい、検証不能になってしまった。これも人生であることよなあ。
8歳の息子が描いたプロフィールの似顔絵が結構似ていることもわかった。