ウォレンとチャック

WGTTCにはこのクラブ専用の練習場がある。メンバーの一人であるキースが倉庫を持っていて、貸しに出しているのだが、借り手が見つかるまでということで只でクラブの練習場として提供してくれているのだ。

床が絨毯なのが違和感があるが、7年前の体育館の自販機の前とくらべれば雲泥の差である。

最近、チャックとウォレンが卓球を教えてくれと言うので教えている。筋肉質なのがチャック、太っているハゲがウォレンである。チャックは見事な肉体をしているのだが、肩の関節だけで卓球をしているので、ひざを使って腰を回転させることと、ボールの位置まで小刻みに動くことを教えると、たちどころに上達しだした。チャックは、指導に対してとても素直で、しかもすぐに完全に理解し、まさに卓球の基本原理に飢えていたという感じで、教えていてとても気持ちがいい。年はほとんど同じだが、こうして卓球の指導を通して師弟関係になると、金色のヒゲが生えている可愛い生徒に見えてくるから不思議である。

ところがチャックには精神的な問題があるのである。8/18に大会があった。私はチャックからその大会に向けて練習をつけてくれと一ヶ月ほど前から頼まれていたのだが、いろいろとあって結局ほとんど練習をしてやれなかった。大会の後、ウォレンからメールが来た。チャックの試合は散々なものだったという。予選の6人のリーグ戦で格下に一回勝ち、その後、格下に2回負けた時点でチャックは残りの試合を放棄したそうである。下のレーティングの選手と試合をすれば、勝ってもレーティングはほとんど上がらないが、負けると下がるから試合をしたくないのだ。そんな身勝手な理由で試合を放棄するなどスポーツマン精神にもとる行為だが、チャックとはしょっちゅう平気でそういうことをする奴なのである。

ウォレンによれば、チャックは「ジョータと練習をしないと自信を取り戻せない」と言って、今や「脱線した列車」のようになっているので、練習に来てほしいという。脱線した列車というのがウォレンのオリジナルなのか慣用句なのかはわからないが気に入った。

チャックに信頼されているのは嬉しいが、こんなスポーツマンシップがない男に教えるのは気が進まない。第一、こういう精神構造では絶対に強くはなれない。まずそこいらへんを指導したいのだが、なにしろアメリカ人だ。理解できるのかどうか不安だが、やってみるしかあるまい。

一方、ウォレンはウォレンで困った奴なのだが、これは明日、書くとしよう。