サンドペーパーラケット

たまには卓球のことでも書こう。

職場の同僚にゲイリーという50代のオジサンがいる。彼は私が卓球が好きだと知っているのでときどき
卓球の話をしてくれる。彼が言うには、スポーツはなんでも得意で卓球も大好きでよくやっていたという。

それでラケットの話になったのだが、彼はサンドペーパーラケットがもっともコントロールがよくお気に入りだという。紙ヤスリである。

なんと。サンドペーパーラケットとは、卓球界にラバーというものが登場する前に使われていたものだ。ラバーが発明される前は、木地のままだったり、コルクだったり、それらの表面に皮を貼ったり羅紗を貼ったりサンドペーパーを貼ったりしたラケットが主流だったのだ。ところが1902年のある日、イギリスのグッドという人が、薬局でつり銭の入っている表面にイボイボのある皿を見てそれを譲り受け、ラケットに貼ったのがラバーの始まりである。その後、日本人が、これを裏返しに貼ってさらに回転のかかるラバーを発明した。だから日本卓球界では今でもイボが表面にあるラバーを「表ラバー」と呼び、イボのないラバーを「裏ラバー」と呼んでいる。今では世界中のほとんどの選手が裏ラバーを使用している。

さて、サンドペーパーラケットだが、いくらゲイリーが年寄りだといっても、彼が卓球をしたといっている少年時代はせいぜい1960年である。サンドペーパーラケットなどとっくの昔にルールで禁止されているので、使用している人もいなければ、そもそも売っているはずもないのだ(使って有利でもないが、おそらくボールが壊れやすくてしょうがなかっただろう)。

ところがゲイリーは、このあたりではポピュラーで、店で売っていたものを買ったという。色はベージュで当たり前のように売っていたらしい。さすがアメリカだ。国際卓球連盟のルールなど知ったことではないのだ。
もちろん、これはゲイリーのようなホビープレーヤーだけが買っていたのであって、当然、競技者はそれくらいのことは知っていただろう。そんなラケットでは出場もできないんだから。

それにしても、卓球研究者の私としては、そのサンドペーパーラケット、どうしても見てみたいものだ。ゲイリーに見つけてくるようにお願いしている。