床屋に行ってみた

いつもは妻に髪を切ってもらっているのだが、月末には広州に行くので、床屋に行くことにした。愛ちゃんに会えるかもしれないのにあんまりみっともない格好では行けない。そこで、デビッドの真似をして、会社の昼休みに床屋に行ってみた。ここいらの床屋は、髪の毛の掃除も適当で首筋に毛の切りクズがついたままになるのだが、そのまま仕事をして痒がってみるのも面白かろうと思い、あえて挑戦してみた。

以前の赴任者の話で、床屋に言って「1インチ(2.54cm)だけ切ってくれ」と頼んだつもりが、1インチにされた人がいるというから油断はできない。

行ったのは、会社の近くにあるコスト・カッターズという、いかにも安そう名前の店だ(いったいどんなアコギなコストカットをしているのだろうか)。店内は日本の床屋とほとんど同じで、順番待ちで座るイスのところにおいてある雑誌まで日本の床屋と同じで、私のまったく興味のもてないモデルの雑誌ばかりだった。どうして床屋の雑誌はああつまらないのだろうか。

切り方はそう日本の床屋との違いには気づかなかったが、眉毛をスペーサー付きのバリカンでバリバリと刈られたのは人生で初めての経験だった。耳掃除や肩叩きなどはしない。首筋の毛を払って最後にデビッドのようにパウダーをつけられて終わりだ。かかった時間は20分弱で、値段は14.9ドル。後で聞くと宮根さんがいつも行っているところは10ドル以下だという。損した。何がコストカッターズだ。

それにしても、もみ上げの処理のなんとデタラメなこと。これが床屋に行った直後のもみ上げだろうか。やはり首筋には大量の毛がついていたが、そのまま仕事をしても痒くなかった。考えてみれば、毛がついて痒いのは、それが衣服の内側について肌に向かって突き出すからで、むき出しの首に毛がいくらついていたところで、それだけでは痒くはないのだ。何事も経験してみるものだ。