つり餌グーッ!

伊丹十三のエッセイ集に、よくトンカツ屋の看板などに豚のコックがニコニコしながら料理をしている絵など描いてあるが、神経を疑うと書いてあった。

私はむしろ、一種のブラックユーモアとして楽しんでいる。描いた人がそのつもりがないとすれば、それはそれでその間抜けさが可笑しいので、どちらにしても可笑しいというわけだ。

仙台の町で、類似のつり餌屋の看板を見つけた。粋なミミズくんだか毛虫くんだかが、「グーッ」とサインを出している。素晴らしい。

何年か前に、お盆に実家で外で焼肉をして食べたことがあった。親戚が集まってワイワイやっていると、飼っている牛が「ンモオー」と鳴いた。それを聞いた親戚のおばさんが「牛ちゃんも鳴いてるよ、僕の番だよモーって」と言ったのがとても可笑しかった。このおばさん、いつからこんなにキレるジョークを言うようになったのだと思ったが、後から考えると、「僕の番」というのは、「僕にも餌が欲しい」ということであって、決して「僕が食われる番」ということではなかったのだ。勘違いした私だけが大笑いしたのだった。