アロハ・シャツ

トニーという同僚がいる。

彼はいつもアロハシャツを着て仕事をしている。今日も着てきたので、私は先日何かで読んだウンチク「アロハシャツのもとは日本の着物だ」という説を披露した。ところがトニー、アロハシャツについて語る語る、歴史や経緯など長々と語ってくれた(早口でほとんどわからなかった)。

するとマイクが隣から「トニーがアロハシャツをいくつ持っているか知ってるのか」と言う。聞いてみるとなんと170枚持っているとのことだ。これまでに買った枚数は500枚以上だが、保管場所に困って多くは人にあげてしまい、今は170枚しかないのだという。彼はとにかく店でめずらしいアロハシャツを見ると必ず買うらしい。もちろん奥さんは「同じ物があるでしょう!」と怒るらしいが意に介さない。また、奥さんが誕生日に普通のシャツを買ってくれたりするが、トニーはそれを絶対に着ないので奥さんに嘆かれているという。

教会にもアロハシャツで行くのかと聞くと、ちゃんとアロハ用ネクタイというのがあって(形は普通でアロハ模様らしい)、それを着けるので問題ないそうだ。本当かよ。ときには下着もアロハだという。

彼がアロハシャツに懲りだしたのにはきっかけがある。会社に入ったときにあまりに忙しいひどい仕事だったので、怒りがちだったのだが、あるときアロハシャツを着たらとてもリラックスし、温和でいられることがわかったのだという。それ以来、アロハの魅力の虜になり、その収集が趣味となってしまったらしい。

それにしてはトニー、今も結構すぐに怒るように見えるのは、気のせいだろうか。