きゅうりとトマト

裏庭の野菜が育った。繁殖著しいのはキュウリだ。まるで雑草のように藪の方にまで侵食している。精力旺盛のツルが雑草を縛り上げているのがなんか可笑しい。

収穫したキュウリをさっそく切って食卓に並べた。食べてみると、なんとほんのりとメロンのように甘みがあって感激した。

ここで、かねてからの大きな疑問が沸いてきた。よくグルメマンガなどで、高品質の食材を食べたときの表現として「甘みがある」というのがある。甘みがあればいいのなら、砂糖を使えばいいだけのことだ。また、甘みがあるということが、さも「高品質であること」のように表現されているが、なぜ甘いことが高品質なのか。甘いと言うのはたまたま人間の特に子供が好きな味だというだけのことであって、それ以外に特別な価値はないはずだ。また、甘くては困るメニューだってあるはずなのに、なぜ素材が「甘い」と言って喜ぶのか。

などというしょうもないことを考えながらきゅうりを食べたのだった。

一方、トマトも「屋内で苗を育ててから屋外に植えろ」という指示を守らずに適当に裏庭に蒔いたにもかかわらず、小さな実をつけるまでになった。

どちらも、あんなに手荒く育てたのに、よくこんなに良い子に育ったものだ(誰かのようだ)。