生まれ変わり

大学時代の学園祭で、ある宗教団体のサークルに議論をしに行ったことがある。行くと必ず勧誘してくるので、向こうが勧誘を諦めるまで議論するのが目的だ。大学の宗教関係のサークルは、だいたい宗教を連想させないような軽い名前で、しかも何をするサークルなのかさっぱりわからない名前になっている。だから逆にすぐにそれと分かってしまうのだ。

そこで、生まれ変わりの話になった。今の人生で正しい生き方をしないと、来世でひどい目にあうという理屈だ。しかし、仮に来世があったとしても、我々は前世のことを覚えていないのだから、実効的には他人と同じことだ。だから私は来世のことは気にしないと答えた。

しかし信者はこれが理解できない。
「覚えてなくても、苦しむのはあなたのその魂なんですよ」
「誰の魂でも、覚えてなければ今の私と何の関係もありませんから他人と同じです」
「いや、関係があるんです。魂が同じなんですから」
「神様から見れば関係はあるんでしょうけどそれを意識できないんだから関係ないのと同じです」

という水掛け論が続いた。ついに上級者が出てきて私の主張を認め、「あなたには宗教が必要じゃないことがわかりましたから、もう帰ってください」と言われた。さすが上級者だけあって、物分りがいいし、判断力もしっかりしている。

こう言われれば、こちらはそれ以上議論することは何もない。すごすごと帰るだけだ。

*これはちょっと誇張入ってるかもしれない。