虫眼鏡

子供の頃に資金や知能が足りなくて思う存分できなかったことを大人になって本格的にできるようになったことが多く、楽しいなあと思う。

子供の頃によく小さいおもちゃの歪んだプラスチック製の虫眼鏡で日光を集めて何かを焦がしたりしたものだが、それほどの威力はなかった。今ではもっと大きく精度のよいガラスの虫眼鏡を持っているので、それでアラバマの強烈な日光を集めて照射するとすごいことになる。黒っぽい紙など、焦点を合わせるのも待ちきれずに炎を出して燃え始めるのだ。これは楽しい。

それで、家の周りに干からびて死んでいる昆虫を焼いてみようと思い立ち、子供たちに「虫眼鏡で虫を焼きたい人集まれ~」と声をかけた。子供たちは騒然として駆け寄ってきたが、妻が大爆発した。「死んだ虫をやるんだからいいだろ。なんでダメなんだ?」と言いかけると「この話これ以上する気ないから」と門前払いで、一同、シュンとなった。

後日、ひとりでこっそり死んだ蜂を燃やしてみたことは言っていない。