長い瞬き

他人の癖というのは気になりだすと、とても気になるものだ。

最近特に注目してしまうのは、話すときに目を閉じたまま話す人だ。自分が話している間中、目を閉じていて、話し終わると安心したように目を開いてこちらを見るのだ。私はひそかにこれを「長い瞬き」と名づけて観察している。話しにくい内容でもないし、思い出すのに労力が必要でもない。話の内容に関係なく、とにかく目をつむって話す人がときどきいるのだ。中には、白目をむいたままものすごく速い瞬きを連続しながら話す癖の人もいる。どうして白目をむくかといえば、人間は目をつむると目玉が上を向くようになっているので、そのまま瞬きをすると白目が点滅することになるのだ。

これは何かの心理の表れだと思っていると、職場のアメリカ人にも「長い瞬き」をしながら話す人を発見した。これは文化に寄らず人間という種に共通の癖なのだと思われる。しかし仕事中にこれをやられると、「いったい何秒間、目をつむったままなんだろうか」「車の運転中だったら大変だな」などと考えてしまってドキドキしてしまう。