モスクワの夢

毎年のことだが、世界選手権の取材が近づくと、選手でもないのに何度もその夢を見る。なんだか知らないがうまくいかない夢ばかりだ。会場に辿りつけなかったり、ついても試合が終わっていたりだ。試合会場で見るのも世界の選手でなくて、村上力さんとか戸田とか仙台の卓球好きのオヤジたちとか20年以上前の知り合いばかりで、なんとももどかしい。やはり新しい記憶は夢には出てきづらいのだろう。

今朝も、実に後味の悪い夢を見た。モスクワに卓球の試合を取材に来ているはずなのに、なぜだか小学校の裏の水をはった水田が会場なのだ。この時点でもう完全におかしいのだが、それでも私は福原と平野を探している(女子だけですまん)。やっと平野がいたと思ったら、それは会社の後輩の谷という男で、ゴーグルをつけてもぐったり顔を出したりしている。まだ私はそれを平野だと思っている。

それで、平野(実は谷)が水面から顔を出すと、なんと体長が20cmほどもあって胴体がソーセージぐらいの太さのバカでかい蚊を両目の上まぶたに2匹づつ合計4匹ぶら下げているのだ。谷は「こうすると免疫の関係で蚊の毒素が薄まっていいんです」ともっともらしい説明をする。私は聞いているうちにもうなんだか面倒くさくなって、適当にあいづちをうったのだった。

あんなバカでかい蚊に顔を刺されたら、免疫どころか即死じゃないか、と目が覚めてから思った。蚊が出てきたのは、先週あたりから妻が蚊に刺されて騒ぎ出し、蚊を退治するクスリを裏庭に撒いたりしたからだろう。だいたいあんな形の蚊いねえし。

結局、小学校の裏の水田で谷が顔に蚊をぶら下げて出てきただけで、卓球も平野もモスクワも見る影もない夢だった。