深夜の卓球場

結局この日は、午前11時から練習を始めて、5人で交替で午前0時頃まで卓球をするはめになった。私は指導に呼ばれたはずだったが、結局ピータースには一度もアドバイスを請われはしなかった。それどころか、自分の打法を解説するありさまだ。自分がいいプレーをすると、人の話を止めさせて「見たか見たか?」と言い、見てないともう一度やってみせるのだ。やはり私をコーチとして呼んだのは口実だったか。スタンとの試合では試合中なのに自分の技術の解説をする。試合中に自分に勝っている相手にそんなことをやられることほど不愉快なことはないはずなのに、スタンはよく嫌にならないものだ。人間ができているのだろう。

指導をしたショーンとカイルは、私が休んでいると「プレーしたいか?(Do you want to play?)」と聞いてくる。もしかしてこれは英語では「やりましょう」という意味なのだろうか。しかしそれがわからないので、私は質問を文字通りに解釈して「したくはない。でも君が俺とやりたいならやってもいい」と長々と答えることになる。私は最初から「今日は俺は教えに来たので卓球をしたいわけではない」と何度も言っているのに必ず「Do you want to play?」と聞かれるのだ。そうではなくて「やりましょう(Let’s play)」とでも言われればやるのだが。

ピータースは「今日はオールナイトだ」と言っていたが、さすがに0時を過ぎるとやろうという人が少なくなり、最後には卓球場の照明を落として(ピータースは小まめに電気を消す)、ピータースの20年くらい前の試合のビデオを見ながらの雑談となり、1時頃に解散となった。すっかり疲れた様子が写真から分かるだろう。スタンなんか床に寝転がっている。

ピータースは「お前らが止めると言うから俺は止めるんだ」などと言っていた。自分はいくらでもできるという。まったく敵わんジジイだ。

この後、ショーンとカイルは帰り、私とスタンは泊まった。明日は3人だ。何時までやるんだろうか。