そして使われてない模型たちがこの通りだ。古いテレビゲームが3台もあった。
「お前、遊ぶことしか考えてないだろ」と言いたくなる。
月別アーカイブ: 7月 2010
鉄道模型4
鉄道模型3
鉄道模型2
鉄道模型
受講生2 カイル
もう一人の受講生はカイルという。ウエスト・フロリダ大学でこちらもIT技術を専攻している20歳。卓球歴はやはり1年半だ。こちらは前日から泊りがけで来て練習していた。とても太っていてかなり動くのが辛そうだが、そのわりにちゃんと打てる。おそらく運動神経はいいものと思われる。攻撃できるときに攻撃しないので「相手が守備選手じゃないかぎり、基本的にすべてのボールを攻撃するつもりで試合をしないと攻撃すべきときに攻撃できないので、常に攻撃の準備をしているように」とアドバイスをした。
こちらも効果はあって、指導後の試合でピータースから初めてゲームを取った。
これだけアドバイスの効果があると面白い。二人とも運動神経も体もあり、技術も蓄積されていて、ただその使い方がわかっていなかったのだ。
カイルはかなりの勉強家で卓球の知識もあり、世界でもっとも好きな選手はなんと水谷隼で、次が朱世赫だという。水谷があれほどボールが遅いのに勝てるのが不思議だし、中でも、ラリー中にやるラケットヘッドを回さないでへろーんと持ち上げるバックハンドが不思議で、「どうしてあれを相手は打てないのか」と言っていた。そういう不思議なところが他の選手と違っていて好きなようだ。水谷のボールが他の一流選手より遅いのは、もともとは右利きなのを卓球だけ左でやっているからだという説を教えたら「知らなかった」と喜んでいた。
女子選手で最も好きなのは福原愛だという。プレースタイルも好きだしもちろん顔も好きだという。プレースタイルなら中国選手の方が強いのにどうして福原なのか聞くと、中国選手は無表情(stone face)なので嫌いだそうだ。愛ちゃんは困ったり喜んだりするので、そういうところがいいのだという。なるほど、そういう見方もあるのかと思った。
インド人に荻村伊智朗と田中利明の話をふっかけられるのもいいが、アメリカ南部の田舎町で水谷と愛ちゃんのファンに出くわすというのも楽しいことだ。
ブログに写真を載せると言うと、ちょっとすました顔をして「20歳で彼女募集中って書いて」と言った。フィリピーナのクォーターだという。ピータースは何かにつけてカイルのことをスモウ・レスラー、スモウ・レスラーとしつこくいじっていた。
新聞記事
壁に貼ってあるのは卓球用品だけではない。自分が試合に出たときの写真や、新聞に載ったときの記事の切り抜きが貼ってあるのだ。3年前に私が上げた、彼のことを書いた卓球王国のコピーも貼ってあった。
驚いたのはある新聞記事で「アラバマ州のトッププレーヤーのひとりであるJota Itoはドーサンからブリュートンにやってきて、疲れて音をあげるまで、8時間もピータースとプレーした」なんて書いてある。ブリュートンのスポーツ新聞だ。どういう記者だか知らないが、ピータースが自分でそんなことを得意気に記者に話したのだ。まったく、ちゃっかりしたジジイだ。だいたいその時だって私は、「南アラバマ卓球クラブ」という名前に騙され、メンバーが17、8人いるというから来てみたらこの家だったのだ。
私が「俺のこと書いてる~っ!」と驚いていると、彼は別の新聞を取り出してある部分を指し「じゃこれは見たか」と言った。そこには次のように書いてあった。
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土曜日 卓球クリニック開催
南アラバマ卓球クラブは、第一回の年度行事として、日本からの講師を招き、フロリダ州とアラバマ州の選手を対象に卓球クリニックを開催します。
Mr. Itoのクリニックは土曜日で、練習は金曜の午後から日曜の午後までできます。
人数に限りがありますので、興味のある方はあらかじめ867-3198までお電話ください。
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ひぇーっ、新聞に広告出してるーっ!まるで講師を日本から呼んだかのようである。しかも第一回の年度行事とある。これから毎年やるつもりなのだ。
もちろん、電話してくる者などいない。今回の卓球クリニックの受講者は、ピータース本人とスタン、それから普段からピータースが教えている大学生の二人と分かりきっているのだ。そもそも南アラバマ卓球クラブなんてないし、年間行事もなにもない。すべてピータースがひとりで言っているだけなのだ。
誰も来ないのにこんな広告を新聞に出しているピータースを見ていると居たたまれなくなるのだが、そのいじらしさがなんとも愛おしい。ここまでくると、もうこのジイさんが何を言おうと、どんな性格だろうと関係ない。ここまで卓球を愛する人なら問答無用で仲間である。
卓球パラダイス2
まさに卓球パラダイス
卓球クリニック
ドクター・チョップ(カット博士)ことロナルド・ピータースのことは、このブログや雑誌に何度も書いたことがあるが、先週末、彼の家に泊りがけで行って卓球をしてきた。彼の家に行ったのは、10年前に出張で来たとき以来だが、あまりにインパクトの強い体験のためにときどき思い出さざるを得ず、10年ぶりなのに懐かしいというよりはどちらかというと「また来てしまったか」という、うんざりした気持ちになったのが可笑しかった。
私は卓球をする情熱はもうないのだが、今回、彼から「生徒を集めて1泊2日で卓球クリニックをやるので、コーチとして来てほしい」という申し出を受けたのだ。日当まで払うという。ピータースは72歳で、しかももう10年も癌を患っている。今年の3月頃には「4月から放射線治療を始めるのでもう卓球はできない」と言うので最後のプレーのつもりでスタンの家で卓球をしたぐらいだ。そのピータースがまだ元気で、今なお私から卓球を習いたいというのだ。どうしてこれを断ることができよう。レッスン料などいらないと、喜んでピータースの家に行ったのだった。
とにかく彼の家は凄い。外見は寂れているのだが、家の中は彼の好きなもので溢れていて、彼がいかに好きなことを好きなだけやって生きてきたかがよくわかる。しかもピータースはその「好きなこと」が多いのだ。卓球、鉄道模型、銃、ナイフ、オーディオ、古銭集め、そして家中を埋め尽くす本、本、本。今も現役の歯医者なので、お金には困らず、欲しいものはどんどん買うのだ。それらを少しづつ紹介していこうと思う。再来月の卓球王国の記事もピータースのことを書こうと決めている。
彼の家に入ると、食堂、台所、リビングと一直線に通ることになる。そしてリビングの右側にガラス越しに見えるのが彼の自慢の卓球場だ。写真中央がリビングから卓球場を見た様子だ。