名もなき卓球場

つい先週、近所の住宅街に名もない卓球場があることを発見した(比喩ではなくて実際に名前がないのだ)。

その卓球場は通りに面して建っていて、壁にデカデカと「卓球場」と書いてあるだが、通ったことがない通りだったので知らなかったのだ。

さっそく行ってみると、それは普通の民家の裏に別宅として建てられた卓球場で、ちゃんと営業をしていた。内部には洒落た感じのカウンターなどあり、趣き深い卓球場であった。ただ、現在は卓球場としてよりも社交ダンスの練習場としての方が多く使われていて、平日の夜は水曜以外は毎日ダンス教室の予定が入っているそうだ。

卓球場もダンス教室も、この家の奥さんの趣味が高じて始めたのだという。今は卓球よりもダンスに情熱を傾けているらしい。

卓球場は25年も前に始めているが、名前もないし宣伝もしないので近所の人しか知らないらしい。どおりで私も知らなかったわけだ。

使用料金は1台で1時間500円だそうで、近所の奥さんやら子供などが遊びに来たり、中総体の前に中学生が来たりするという。

こういう、好きなことを貫いている人を見ると、なんだか嬉しくなってしまう。それが他ならぬ卓球なのだからよけいである。

帰り際に「ダンスを始めないか」と誘われたが、丁重にお断りした。私は踊りほど嫌いな娯楽はないのだ。