『なるほど卓球サイエンス』

年末年始と、卓球技術についてあれこれ考えていたので、指導ビデオとか過去の卓球雑誌を見ていて、10年ほど前に卓球王国に1年間連載されていた、吉田和人さんの『なるほど卓球サイエンス』が目についた。

吉田さんは、以前から卓球技術を科学的に研究している方で、私は2001年大阪大会のスポーツ科学会議のパーティーで一度お話をさせていただいたことがある間柄である(つまり、たいした間柄ではない)。

あらためてこの連載を見ると、科学的に正確なことをわかりやすく表現し、従来の卓球試論の迷信をやんわりと指摘するなど、秀逸なものであった。下の写真は、切るツッツキと切らないツッツキをトップ選手にやってもらったところ、本人はフォームは同じでボールを当てる位置を変えてラバーとの接触時間を変えて切ったり切らなかったりしていると思っているのに、実際にはラケットの動きがはっきり違ったという測定結果だ(中央の図)。また、ボールとラバーとの接触時間は千分の1秒ほどなので、ラバーの上をボールを長く転がすのは無理だと説明している。

また「遠心力を使ってボールを打て」とよく言われるが、遠心力は常にスイング方向の垂直方向に働くものなので、これを使ってボールを打つことは不可能であり、正しくは「遠心力を感じられるような振りで打て」ということだろうとしている。

私としたことが、この秀逸な連載のことをすっかり忘れていたのは不覚であった。苦労して書いた本人は忘れるわけもないが、読む方は忘れるものだ。

吉田さんは現在、静岡大学に教授として勤務するかたわら(http://www.ipc.shizuoka.ac.jp/~ehkyosi/)、「NPO法人卓球交流会」の顧問として、卓球普及に尽力されている。
http://homepage3.nifty.com/takkyu-information/