メンタリズム?

「徹子の部屋」で、ダイゴという人のマジック(手品)を見た。

演目よりも気になったのは、彼が黒柳徹子に「マジックなんですか?」と聞かれるたびに「いえ、違います。メンタリズムです」と答えていたことだ。

そのメンタリズムというのがよくわからないもので、科学的合理的に訓練すれば誰でも出来るようになるとか、そんなことを言っていた。慶応大学の現役の大学院生で、物理を学んでいるというプロフィールも、この演出のもっともらしさをかもし出していた。しかし、科学的合理的にできる、そういうことを一般にマジックと言うのであって、実際、演目はまごうことなきマジックだった。

しかし、タネがあるマジックをマジックではないと言って演じることが果たして許されるのだろうか。もちろんそうする理由は分かっている。マジックよりはマジックではないもの、つまり超能力の方がずっと価値があるからだ。もちろんマジシャンだって「タネもしかけもありません」と言うことがあるが、それはあくまで建前の台詞であり、観客は本当にタネがないとは思っていない。わからないけどタネがあるんだろう、という了解のものとに安心して見ているのだ(いったいどんな巧妙なタネなんだろう、と思う人と、どうせタネがあるんだろ下らない、と、思い方は人それぞれだろうが)。

しかしダイゴは「マジックではない」と言いきっているのだから、視聴者の中には、ダイゴを超能力者だと思う人がいるだろう。

こうして霊感商法にひっかかったりする精神的下地が出来上がるわけだ。それとも、そういう人たちはダイゴを見ようが見まいが、どっちみち霊感商法に自ら邁進する人たちだから実害はないのだろうか。

そういうことを考えさせられた番組だった。