クドい先輩

先日紹介した、中学校の指導者の青山さんは、大学の3つ上の先輩である。私は3年から卓球部に入ったのでほとんど面識はなく、先月あった卓球部の50周年でお会いしたのが4回目くらいである。

しかし実は大学3年ころに、一度青山さんが先輩風を吹かしに部活に来たことがあるのだ。本人は覚えていないというが、そこで彼は鮮烈な印象を残していった。彼は近くにいた現役部員たちを集めてこんな卓球理論を披露した。

「練習には4種類ある。今できることで試合に必要な技術、今できることで試合に必要ではない技術、今できないことで試合に必要な技術、今できないことで試合に必要ではない技術だ。練習しなくてはならないのは、今できないことで試合に必要な技術だ。お前たちは今できることで試合に必要ではないことをやっているからダメなんだ」

というものであった。なんともクドい、まるで荻村伊智朗のような言い草である。もちろん生意気盛りの私はこういう話に簡単に感心するわけにはいかないから「また理屈っぽいことを言って人を感心させようとしてる人が現われたな」と思ったものである。と同時に、混沌とした卓球の練習論というものを体系化しようとするその熱意といおうか迫力といおうか、それは確かに私をとらえ、だからこそそんな一瞬の話を28年経った今もはっきりと覚えているのだ。

先日の飲み会でそのことを話すと「恥ずかしいから言わないで」と言われたが、話してみると「卓球マガジン」を全冊持っていて、荻村伊智朗の連載「現代卓球講座」について話が弾むほどの”机上の空論家”であり、まったく私と同じ穴のムジナであったのだから、私が呼応したのはしごく当然のことなのであった。

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