月別アーカイブ: 1月 2013

本革

新幹線のカタログ紹介は「面白い」という人がいたかと思えば「あれが一番つまらないので止めて欲しい」と言う人もいて、いちいち聞いていられないのでとりあえず書くことにする。

革製品のページで「牛革」とか「羊革」とか「馬革」とかが載っていたのだが、その中に「本革」というのがあったのが目を引いた。他のものは動物の種類を書いてあるのにこれだけが本物の革だというのだから不思議ではないか(ここまで田村に話すと「人間の皮ってことか」と不安気な顔で言ったことを付け加えておく。なんで新幹線の通販がナチスの真似事をせにゃならんのだ。さすが変わり者の名をほしいままにしているだけある)。

それで製品説明をよく見ると、そこには「豚革」と書いていたのであった。どうしても「豚」とは書きたくなかったものと見える。たしかに、豚とえいば「豚箱」とか「豚野郎」とかあまり良い印象はないのだから仕方がない。死んで革になってまで差別されるとは豚の人権はどうなっているのだろうか。ねえかそんなもん。全日本が始まったというのに、よりによって豚野郎の話というのもなんだが。

『卓球ラウンジNOA』視察

昨年、仙台市内に新たに卓球場ができたのを聞いていたので、大雪の中視察に行ってきた。視察といえば聞こえはいいが、要するにひやかしである。しかし、今日の予定を聞いてみると5時から6時までの1時間だけ空いていてあとは教室やらフリーやらで埋まっているという。素晴らしいことだ。

台は4台もあり、二人の生徒さんが指導をされているところだった。卓球場が繁盛をしているのを見るだけで私は楽しいのだ。

体罰について

どこかの高校バスケ部顧問の体罰が問題になっている。卓球界でも体罰をする学校があるという話はチラホラ聞くし、親が子供を叩くなどというのは当たり前のようによくある。

テレビでは「教育基本法で体罰が禁止されている」と言うが、それは時速40キロの制限速度のようなもので、そもそも守っている人の方が少ないルールである。問題は体罰の有無ではなくてその程度にあることは明らかだ。平手で30発も叩くのはやりすぎだし、拳で殴るなどは1回でもダメだろう。しかしその許容程度を客観的に決められないから安全策として「体罰はダメ」となっているにすぎない。

体罰が教育に効果があるかどうかはわからない。そもそも何を持って教育されたと判断するのかもわからない。仮に教育の効果がないとしても、私はある程度の体罰なら容認する。現場では暴力で生徒の行動を制限する必要がある場合もあると思うし、先生も人間なのだから腹が立って手を出したくなるような生徒もいるだろうからだ。

なお、荻村伊智朗は体罰は絶対にしなかったそうだ。体罰はしなかったが、言葉の暴力が凄まじく「これなら叩かれた方がマシだ」と思うほどの全人格否定を延々とされるのだという。その荻村が『卓球クリニック』(1990年ヤマト卓球刊)という本で、指導者の体罰が嫌だという読者の質問に対して「ネチネチといじめまわされるよりは、スカッとなぐられたほうがいいというふうに考える場合もあるでしょう。また、暗い顔をしてブツブツと口の中で生徒の悪口ばかり言っている雰囲気よりも、スカッとなぐってあとはニコニコというほうが思い切ってやれるかもしれません。」(P196)と答えているのだから可笑しい。

自分自身のことはどう評価していたのか聞いてみたかった。

無残なり編集長

先の補助剤を取り上げたテレビ番組だが、実は卓球王国の今野編集長のところにも取材が来ていたのだという。「テーマがテーマなので、ボツになるかもしれない」とは言われていたそうなのだが、蓋を開けてみればボツになったのは補助剤ではなくて、今野さんだったわけだ。

テレビ局が来るというのでせっかく居室を片づけ(たかが知れているとは思うが)、カメラの前で30分も話したのに放送は1秒もなし。もちろん局からは何の連絡もない。

この悔しさをはらすためには、逆にテレビ局に取材に行ってさんざんインタビューしたあげくにボツにしてやるしかないと思うがどうだろうか。もちろんそういう仕事はユウにやってもらおう。がんばれユウ。

偉いぞフジテレビ!

12月30日に放送されたフジテレビの『とくダネ!発 ディレクター魂~2012最後のスクープ~』が素晴らしかった。水谷の補助剤問題の告発が取り上げられているのだ。

冒頭、水谷により補助剤問題が語られると、補助剤の有り無しラケットに鉄球を落とす実験映像となり、跳ね返る高さに20%の差があったと解説された。ピンポン球ではなくて鉄球で実験を行ったのは、ピンポン球では差が出なかったからだろうな。また、到達する高さに20%の差があったことをもって「跳ね返る力が20%違う」と解説したのは間違いだ。言うまでもなく到達高さと初速は比例しないからだ。

カメラは中国に飛び、杭州でのITTFワールドツアーグランドファイナルの取材となる。これが素晴らしかった。愛ちゃん、石川に水谷の不正告発について質問を浴びせるのだ。30時間も張り込んでインタビューしたと言っていたが、普通のプレスのインタビュー用の壁紙の前だったので、単に二人の試合がなかったか、30時間観光でもしていただけだろう。それは良いとして、当然のことながら二人とも当惑し「それについては何も言えません」と言葉を濁した。取材陣はその後、なんと馬琳に「ブースターが使われていることは知っていますか?」と聞いたのだ。間髪入れず「知りません!」と答えてプイッと去る馬琳。自分に言い聞かせるようにうなずきながら答えたのが可笑しかった。「知りません」という否定文をうなずきなら話すとはなんと皮肉なことだろうか。

その後、丁寧に同じ質問をすると、それまで笑顔だった表情があからさまに曇って固まった後「わかりません」と答えるのだ。その表情の変化の瞬間をスローで繰り返し再生するエグさはさすが民放だ。「中国人記者たちもなぜか冷ややかな視線に」と笑顔が消える様子をこれも繰り返し再生していたが、笑顔の方は明らかに別の撮影の挿入だった。こういうインチキはあったものの、補助剤そのもののインチキに焦点を当てるためであれば何でもよい。

その後映像はスタジオに切り替わり、補助剤を塗ったラケットと塗っていないラケットを持ってきてゲストがラバーを触り「全然違いがわかりません」と言っていた。・・・分かるわけがないし、「そんなにベタベタと指でラバーを触らないで」と自分が使うわけでもないのに思ってしまったのは卓球マニアの性である。さらに、シャララの「不正をしている選手がいるのは分かっている」という例のコメントもデカデカとボードで紹介されていた。

ともかく意義深い番組であった。IOCの人にぜひとも見てもらいたい。この調子で大問題にして、パリ大会ではラバーを剥がして検査せざるを得ないようにしてもらいたい。偉い、偉いぞフジテレビ!もっともっとやれー。

2日に実家に帰ったら「卓球ではインチキやってるやつがいるようだな」と卓球に興味のない父から言われた。テレビの力は大きい。ちなみにそこで私は「検査できないんだから日本人も塗ればいいんだ」と言うと「そんなことはない、ルール違反はダメだ」とモメたことを付け加えておく。補助剤問題は帰省した中年親子にさえ軋轢を生み出しているのだ。

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