ブレない生き方

何週間か前、職場の後輩と駅に向かって歩いていたら、後輩が電車に乗り遅れまいと急ごうと言い出した。私は次の電車でも問題ないので「急ぐつもりは無い」と言うとその後輩は「さすがです。そのブレないところが凄いです」と感心している。ブレるもブレないも、用事もないのに走りたくないだけのことなのだが、それから何週間かしてからその後輩が思い悩んだ様子でそのときのことを語り出した。

彼は電車どころか信号機のパターンさえ気にして道路の横断の仕方まで計画を立てるという。もちろん天気予報も気にする。ありとあらゆることに左右され、仕事でも他人の意見が気になって信念がぶれてぶれてどうしようもないという。そんなとき、目の前で電車が行こうとしているのに電車に合わせずに堂々としている私が凄いと尊敬をしたというのだ。

そう言われれば私は天気予報はほとんど見ないし、予定がないときは電車時間も見ない。ガソリンの値段も菓子の値段も見ない。どっちみちたいした差はないからだ。これはブレないというよりは、単に横着なだけである。大学受験のときに東京の私大を受けようと、前日、親戚の家に泊まったはいいが、当日の朝に会場を調べたら遠くて間に合わなかったので受験を止めたのだった。東京まで来たのだからすぐに行けると思い、受験会場がどこにあるのか一度も見ていなかったのだ。

こういうわけだから、ブレるもブレないもお話にならないのだが、その後輩は私と自分を比較して「俺はダメだ」と落ち込んでいた。そんなことを考えるということこそがまさにブレるということだと思うがどうなんだろうか。

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