飛びつきのときの爪先の向き

今月号の「逆モーション」の中に、フォアへの交差歩での飛びつきのときの左足(右利きの場合)の爪先の向きのことを書いた。文字数の制限から詳しく書けなかったので、補足しようと思う。

日本では、フォアに飛びつくときの左足の爪先が相手側あるいはボールを飛ばしたい方向に向けるのがよいとされてきた。そのため、練習ではみんなそのようにやる。しかし現代卓球ではこれは間違った考えである。

このような動きは、時間に余裕のあるときしかできない。実際の試合では誰でも爪先は動いている方向に向けていることは一流選手たちの写真を見ればわかる。一枚の例外もない。交差歩は足をひねることができる時間の余裕がない非常時にしか使わないものだからだ。

当然、練習で爪先の向きを相手の方を向けるためには、本来交差歩を使ってはいけないような遅いボールあるいはあらかじめボールがフォアに来ることがわかっているような有り得ない状況を作り出してやるしかない。このような練習が役に立たないことは言うまでもない。

理想的なフォームを実現するために実戦でありえないような甘い状況で練習をする、ここにも日本の卓球の間違った理想主義が表れている。ワンコースのゆるいボールで1000本ラリーをするとか、ボールより先に動いて止まって打つ(ひどい場合には次の場所に動き出しながら打つ)左右のフットワーク練習もそれらの仲間である。

飛びつきのときの爪先の向き” への 6 件のコメント

  1. 本当に、「死ぬ気でボールをつなげ!」
    「千本でも2千本でもつなぎまくれ!」
    なんて指導する方が多いですね。
    試合の為の練習ではなく、練習の為の練習を繰り返している。
    つなぐ事が無意味とは思いませんが、時間が限られている学生にとっては非効率だと思います。
    中学から卓球を始めた選手ならば基本練習よりも、サーブレシーブからの攻撃練習を重視するべきと考えますが、如何でしょうか?

    1. もちろんそうです。特にサービス練習です。サービスの技術とラリーの技術は独立ですから、極端な話、サービスだけ一流選手のレベルになることはありうるわけです。そうすると、全中選手でも取れないサービスが可能になります。

  2. いや~いいですねぇ、この無駄な練習ばかりやらされる様式美。
    うちのコーチも「なんのための練習か」という本質を
    わかってないくせに、実戦的でない練習を多くやらせてましたね。

    コーチ自身の実力が高いからなおさらタチが悪いんですよね・・・。

  3. 河野さんが77年チャンピョンになった後卓球ジャーナル誌上で飛び付きの解説をしていたがつま先は相手に向けると言っていなかったような気がしてます。伊藤さん、当時のジャーナルをお持ちではありませんか?

    1. なぜか現物が見当たらないのですが、スキャンした画像は見つかりました。河野選手の記事があったのですが、フットワークに関するところでは、中国選手は近い足を出すけど日本選手は遠い方の足から出すという記述があっただけでした。
      なお、当時の連続写真を見ても、実戦の飛びつきでつま先を打球方向に向けているものは1枚もありません。このような写真が存在するのは「フットワークの練習方法」として紹介される写真だけです。

  4. 伊藤さん、全く持って自分の勘違いでした。空中でつま先がフォア側を向いていて最後に着地時に相手の方を向いていてご本人も「打つ方向につま先を向ける」と書いています。写真だけ(ほんの上っ面だけ)みて勘違いしてました。自分はつま先がフォア側で上半身で調整するものと思っていました。大きく飛びついてクロスにつま先はちょっと無理ですね。

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