書道と料理の共通点

昨日だったか、テレビを見ていたらあるタレントが「書道が上手になったら料理も上手になった」というようなことを言っていた。どういう関係があるのかと聞き手が驚くとそのタレントは「書道はバランスが大切で、料理でも栄養とか見た目とか味のバランスが大切だから共通するものがあるんです」と言った。そして聞き手たちは「なるほど」と感心し、例の「ウワーッ」というニセモノの歓声の効果音が流れた。

なんとも面白いことを言うものだ。一体全体、世の中にバランスが大切ではないものがどこにあるというのだろうか。それこそ大学受験から立小便まで、バランスと無縁のものなどこの世にはないのだから、このタレントの説明は何の説明にもなっていないのだ。

こういう「AだからBだ」というようなもっともらしい理屈の中にはデタラメなものが多いので気をつけなければならない。簡単な判別方法としては「Aだから」という部分を別のものにしたらBにならないかかどうかを考えてみるとわかる場合がある。

たとえば私が実際に聞いたものでは「ヒゲは一日のうちで午前中に一番よく伸びるので、朝剃るのが効率がよい」というのがあった。ほう。それではもし午後、あるいは夜中に一番伸びるとしたら夕方とか寝る前に剃った方がよいという結論になるだろうか。ならない。いつ伸びようとも、ヒゲは朝に剃るべきなのだ。他人に会う日中の時間帯の身だしなみを整えておくためには朝に剃るしか選択肢はないのであり、ヒゲがいつ伸びるかとは何の関係もないのだ。もし時間帯に関係なく一日のうちのヒゲが短い時間を長くしたいなら、一番伸びた後に剃るのが良いわけだから、午前中に一番伸びるのならその後、つまり正午か午後に剃るのがよいはずなのだ。だから先の理屈は、不要な上にしかもそもそも間違っているわけである。因果関係のないことをそれらしく結び付けたデタラメの理屈だから間違っていることさえわかりにくくなっていたわけだ。

そしてこういう理屈は卓球にも多いのだ。

書道と料理の共通点” への 3 件のコメント

  1. バランスを気にするのは今自分に出来ることの最適化でしかないので、ひとつの目標に向かって突き抜けた行動をとったほうが上達すると思います。例えば中華料理を1年間家でつくり続けた人は、中華料理屋の強いコンロを実際に使って1週間修行した人に絶対勝てないでしょう。

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