デジタル腕時計

私は何を買うのでもさんざん迷ったあげく、満足するということがなく、やっぱり他のが良かったなどと思うことが多い。だからお気に入りのものはあんまりないのだが、断然気に入っているものがある。腕時計だ。

私は腕時計に関しては徹底的な実用主義である。日付と曜日が出ていて使いやすくて壊れなければそれでよい。それ以上の一切の価値を腕時計には期待しない。もともとが使う目的で作られたものに関しては同じ考えである。自動車は走ればよいと思っているし、ワルドナーやガシアンのテレフォンカードでもまずは全部使い切る。水谷の下敷きも使っている。ちゃんと使うことによってそのものの天寿をまっとうさせるというような意識があるのだ。使っていないのは荻村伊智朗の切手ぐらいである(だって使ったら手元になくなるもん)。

そういうことで腕時計も、使いやすくて壊れなければ一生買い替えるつもりはなかった。正確さと見やすさで考えると当然デジタル時計がよい。しかもデジタル時計は大抵は安いのだからこれほど結構なことはない。そういう考えでだいたい3,000円以内の腕時計を買い続けたきたのだが、まったくどいつもこいつも使いにくい。側面の操作ボタンがやけに奥まっていて押すのに爪の先を使わないといけないのやら、やたらと固くて押したら戻らないのやら、逆に過敏でちょっと油断をするとストップウオッチが目まぐるしく動いていたりするのやらだ。アメリカで39ドルも出して買った電波時計など、いきなり日付が2005年1月1日になる病気が頻発したりでそのたびに頭に来ていたものだ。バンドが壊れるのもあったし、デザイン重視のため盤面がやたらと暗くて時間が見難いものもあった。100メートル防水などという不要な機能がついているくせになぜ普通に使いやすいものがないのだろうか。

結果、腕時計など趣味ではないのに5個も6個も買い替えるザマであった。そこで考えた。安いのを買うからだめなのではないか(今ごろか?)。デジタル時計でも最高級の物ならちゃんと使いやすくて丈夫なのではないか、そういう物があるのではないか。そういうつもりで探してみると、ちゃんとセイコーから25,000円もするデジタルの腕時計が出ているではないか。それで思い切って買ったのだが、これがなんとも素晴らしい。ボタンは押しやすく誤動作もしない。バンドも丈夫だ。日付と曜日も出ているし、海外の時間を同時に表示するモードは年に一度の世界選手権の取材の時に嬉しい。デザインもこれでもかというほど自己主張がない。一見プラスチック製に見えて実は極めて頑丈な金属製だ。まったく素晴らしい腕時計があったものだ。

この先、腕時計を買うことはないだろう。

デジタル腕時計” への 4 件のコメント

    1. SBPG003 もう生産中止のようで、セイコーのウエブから消えました。ヨドバシカメラには置いていました。
      シルバータイプはSBPG001です。

    1. まさにその通りなんですよ。その機能的な作りが気に入って惚れ惚れして眺めています。

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