どこが「中継」だ!

中継のことを生放送の意味だと思っている人が多いが、字を見ればそんな意味であるわけがない。「中継ぎ」なのだから、何かと何かの間をつなぐような意味に決まっている。

中継とは撮影現場で撮影された映像などを現場の近くに設置した機材など(通常は中継車)で放送局に送ることを言う。カメラからの映像を放送局に送るための中間点だからこそ「中継」なのだ。

だから「生中継」はカメラからの映像をリアルタイムで放送局に送ることだし、中継点で録画したものを後で放送する場合は「中継録画放送」だ。カメラで録画したテープを後で放送局に持って行って編集してから放送するのは「収録放送」となる。

さて、最近ではインターネットが発達しているので、個人が現場から映像やコメントをリアルタイムでネットに配信することが普通に見られるが、これを「実況中継」とか「生中継」と称するのは間違いだ。

どこに中継ポイントがあるというのか。インターネットでは直接公共の場に情報を提示できるのだから中継など要らない。正しくは「生配信」とか「実況アップロード」と言うべきだ。

「生中継」という言葉で即時性を表すのは「生」の方なのに、そのあとにつく「中継」をその意味だと思っているのだ。ちょうど「携帯電話」の「携帯」が電話のことだと思い、家の固定電話や公衆電話まで携帯と呼ぶようなものだ。「この辺に公衆携帯ありませんか?」ってなものだ。

当然、テレビ局の人にとってはこれは純然たる技術用語だから間違えようがないはずだが、昨夜のオカルト番組で、現場からインターネットに生配信することを「生中継」と表現していた。

UFOよりも「どこが中継なのか」を問い詰めてやりたい気持に駆られたのは私だけだろうか(まあそうだろうな)。

中継が生放送の意味だという誤解が広まった原因ははっきりしている。昔から「この放送は現場から実況生中継でお送りしております」と中継の意味もわからない視聴者に言い続けていたからだ。中継とはテレビの放送のやり方を表す技術用語であり、本来視聴者には必要のない情報なのに、説明もなしに中継中継と言うもんだからそのうち生放送のことだと誤解されたのだ。

テレビ局にはこの誤解を広めた責任をとってもらい、ネット生配信を「中継」と言っている輩に対して「どこが中継点ですか?」としつこく問いただし「中継が要らないのがインターネットなのです」と正しい情報を流布してもらいたい。

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