月別アーカイブ: 2月 2016

誤解の心配

「ミライ☆モンスター」というテレビ番組で張本智和の特集をやっていた。

張本の凄さを見せるため、例のように台の隅に置いた的にサービスを当てるデモンストレーションをやっていたが、これまた例のように成功した1回しか映さないので、凄いのかどうかが全くわからない映像になっていた。1回だけなら素人でもすぐに当たるしそこだけ放送すればいいからだ。それで驚いて見せるスタジオの人たちもご苦労なことだ。

ということは作る方もわかっているのに1回しか映さなかったということは、2回連続は当たらなかったのだろう。もっとも、それができようができまいが、卓球の実力とはあまり関係がないのだからそもそもどうでもよいことなのだ。それがこのデモンストレーションの限界だ。

そのあと、スタジオでアイドルが的あてに挑戦したのだが、2バウンドめで当たりそうになったところで「2バウンドは反則」とテロップが出た。反則もなにも、そもそも的あてゲームをしているわけでも何でもなく、単に的あての難しさを実感するために試しているだけなのだから、2バウンド目で当たっても意味がないことは言われるまでもない。にもかかわらずいきなり「反則」と書かれたら、これを卓球のルールと誤解する少年少女が出てくるだろう。

実際、アメリカに赴任していたとき、職場のアメリカ人たちがそう思いこんでいたのだ。

私は中学生たちの技術の吸収力は信じているが、理解力はまったく信用していない。先日、教え子の一人が合同練習会に行って、スコアの書き方を習ってきた。11-3、7-11、11-9、11-2と書く代わりに(3、-7、9、2)と書く例の方法だ。ところがこの生徒は、この数字を相手との点差だと誤解し、いちいち引き算をして四苦八苦しながらスコアを書いて帰ってきたのだ。一緒に参加した他校の選手たちからそう教えられたという。

このテレビを見て「2バウンドが反則」だと思って明日から心を入れ替えて台から出るサービスを連発する少年少女たちがいることは間違いないのだ。

コンビニでの人間模様

長男が最近まで近所のセブンイレブンでアルバイトをしていた。

私と同様、人間観察が好きな長男は、客の職業による振る舞いの違いが面白いという。

特に対称的なのがトラックの運転手とスーツ姿のビジネスマンだ。

トラックの運転手はほぼ100%店員に対してタメ口であり、ビジネスマンは敬語だという。

そして、トラックの運転手たちは一応に人が良く、「おつり入れといて」と募金箱に寄付をする場合があるが、ビジネスマンはまず寄付をしないという。

確かに私も、常に敬語を使い釣銭を寄付したことなど一度もない。

単純な優劣ではない何かを感じる。

丸山議員の「奴隷」発言問題

丸山議員が「アメリカの大統領は奴隷」と発言したとして問題になっている。

しかし、その発言全体を見れば、アメリカはかつて奴隷だった人種が大統領になるほどのダイナミックな変革を成し遂げた国だと言っているだけのことで、どうまちがっても差別発言ではない。

これを政敵が「問題だ」と騒ぐのは理解できる。それが作戦だからだ。しかし、政敵でもないマスコミまでが一緒になって「問題だ」と騒ぐのはバカとしか言いようがない。本来なら、問題だと騒ぐ人たちをこそ「愚劣ないちゃもんをつけるものではない、人の話が理解できないのか」と批判するべきではないか。

それをあろうことか「アメリカ大統領は奴隷」と見出しにするにいたっては明白な捏造である。新聞もニュースも客商売だからどんな手を使ってでも耳目を集めて騒ぎを作りたいという欲望があるのだからそれも仕方がないことかもしれないが、むしろこういう捏造をこそ徹底的に批判して記事にすれば、正しくかつ売れると思うのだがいかがなものだろうか。

あろうことかわざわざ丸山議員の発言をアメリカに報告して「ご意見」を伺う人まで出てきているが、そういう人は問題を大きくしたいに決まっているので絶対に「失礼な発言」を捏造して報告するに違いないのだ。そっちの方がよほどの問題である。

空揚げ

ヤフーのニュースで「空揚げ」と出ていたので「唐揚げ」の書き間違いだろうと思ったら、なんとそうではなく、中国の唐と直接関係がないからとか、天ぷらに対して衣に相当するものを付けないで上げる料理を衣がないという意味で「空揚げ」と称したことなどから「空揚げ」でも間違いないというのだ。なんとも違和感がある話だ。

「空○○」といえば、少し前に村上世彰という投資家が「空売りを悪用して不正に株価を操作した」疑いで強制捜査されたことがあった。株の知識がない人がこれを読むと、あたかも空売り自体が悪いことのように思うかもしれないが、そうではない。空売りとは、証券会社から株を借りて売り、後で買い戻して株を返す取引の方法であり、まったく普通の投資方法なのだ。通常は上がりそうな株を買うのに対して、下がりそうな株を売買して利益を出す手法だ。

先のニュースをよく読むと、空売り自体が悪いのではなく、あくまでそれを「悪用」したから問題だと言っていることがわかるわけだが、いったい何人の人にそれが伝わっているだろうか。株に興味がない人にとってはどうでもいいことだが。

くれぐれも「空売りとは怪しからん!」などと間違った怒りを表明する人がいないことを願う。

幽霊タクシーの論文

被災地でタクシー運転手たちにインタビューをして彼らが会った幽霊について聞いた話をまとめた卒業論文があるという。

指導をした教授によると、幽霊を見ることよりも幽霊現象を通して生死観、死者との向き合い方を考察することが主題だという。

それならそれで、幽霊話はがあくまで作り話か錯覚であることを論文に添えるべきだろう。私はまだその論文を見ていないが、そうなっていることを願う。

そうしないと生死観などすっ飛んで幽霊の実在論というとんでもないテーマに足を踏み入れることになってしまう。

「夏なのにコートとマフラー姿でタクシーに乗ってきた女性」という話ひとつとってみても、マフラーやコートにも霊があるのかとか、となると廃棄処分にされた衣類や自動車、そもそも石ころや各種原材料などにも霊があるのかという大問題につきあたる。

人間の目ではっきり見える幽霊なら当然ドライブレコーダーや監視カメラにも映るはずだから、その検証も可能だろう。

その辺の与太話や井戸端会議じゃあるまいし、いやしくも大学生が教授の指導のもとに論文を書くのに、これほどの大問題にかすっておきながら「そこは問題ではない」では通らないのだ。

さて、論文はどうなっているのだろうか。読むのが楽しみだ。