モスクワから帰る飛行機で、Invention of Lyingというアメリカ映画を見た。日本ではまだ公開されていないらしく、邦題がついていなかったが、日本語吹き替えがあったので見た。
これは、人間がウソをつく能力のない架空の世界の話だ。誰も彼もが面と向かって「みすぼらしいお客さまですね」「今ウンコしてたところなの」「体に悪いけど買って欲しいです」など、店員だろうが恋人だろうが思ったことだけを言い合うのだ。そして主人公があるとき偶然にウソをつくことを発見する。そして死を怖がっている母親にむかって「死後の世界があって、天には人の運命をコントロールしている人がいる」とウソをつき、人々がそれを本気にして「天の人の声を聞くことができる人」として一躍有名になるのだ。
「ええっ?」と思った人は鋭い。つまりこの映画は、死後の世界も神様もみんな人間が作った話だということを大前提にしているのだ。こんな映画、アメリカ南部なら拒否されそうだが、北部なら許容されるのだろう。なんと思い切った映画だろうか。
ちなみに、映画自体も結構面白かった。
実はこの映画の前に日本映画を2本見たのだが、どちらも凄まじくひどく、ちゃんとした娯楽になっているハリウッド映画を見て心底安心したというのも好評価につながっている。