「俺たちの頃は」という話は実は卓球の世界でも散々聞かされてきた。
あるとき、先輩が「俺たちの頃は合宿ともなれば、何でもかんでも徹底的にやったもんだ」と言う。「最初の柔軟体操からもう、あばら骨が折れるくらいにみっちりやった」と言う。あまりの可笑しさに噴き出してしまった。肋骨が折れる柔軟体操とはどんな柔軟体操だろうか。たぶん、背骨の言い間違いだと思うんだが、どっちにしても骨折したら卓球どころの話ではない。なにがなんでも自慢したいというこの先輩の情熱の空回り具合がなんとも可笑しかった。
さらに、練習ではラケットはほとんど使わず体力トレーニングばかりだったという。なるほど、これでは弱いはずである。どこまでも話は空回りだ。
さらに、その頃は練習中に水を飲むと疲れるから飲むなと言われていたそうで、それでもなおハードな練習を続けていると、体中から水分が抜けて、最後には汗が出なくなってユニフォームがカラカラに乾くのだという。死なずに済んだのが不思議である。
こういう、どこまで本当かわからないし、意味のある努力だったのかどうかもわからない怪しい話を聞くのは、面白いので楽しい。