ホテルの朝食は和食と洋食が選べるようになっていたのだが、マークはあえて和食を選んだ。そこには、日本人でさえ食べない人が多い納豆がついていた。私は日本人がよくやりたがるような、アメリカ人にざわとホヤだのナマコだのを食べさせて面白がるようなことは大嫌いなので、マークが箸をつける前に臭いがきつい事を忠告してやった。
マークはまるで蜘蛛の巣を払うように粘る糸を手で払いながら完食をした。さらに味付け海苔に手を出し、私のマネをして箸を使ってご飯をくるんで食べていた。「悪くない」と言っていた。たいしたものだ。
隣のテーブルの老婦人の二人組みがそろって洋食を選んでいたのがなんとも皮肉であった。