教師をしている友人から「せっかくアメリカにいるんだから学校の様子を紹介してくれ」とメールが来た。
何を紹介したらいいかわからないが、とりあえず、教室の様子をお見せしよう。机が一列づつ並んでいるところが日本と違うかな。あと、壁に貼ってある世界地図が日本中心になっていないところかな。
最新号の卓球王国に、卓球選手の髪型についてのコラムを書いた。ここで、80年代の卓球界でパンチパーマが猛威を振るったと書いたが、実はこれはなにも卓球界だけの話ではない。当時、日本の若者全体に流行していたのだ。
ネットで調べてみると、これは北九州市の永沼重己さんという理容師が、長髪によって理容店離れしている若者を取り戻そうとして、黒人の髪型にヒントを得て考案したのだという。名前の由来は、パンチが効いているからと言われているらしい。こういうものにもちゃんと考案者がいて歴史に名を残しているのが楽しい。
『太田宇宙の会』というのを見つけた。頭の痛い新興宗教かと思ってみたら、なんとまともな天文愛好会で、小惑星や超新星を発見して命名したりしているすごい会だった。
Youtubeでキム・ソンヒと劉南奎の試合を探していて、偶然、Zack Kimという人の映像を見つけた。
http://www.youtube.com/watch?v=4Xo3C2ZyReY&feature=channel_page
http://www.youtube.com/watch?v=XZAaQXSjEwE
なんとこの人、2本のギターを同時に弾くのだ。韓国のテレビに出て珍しがられている映像も載っていたので、おそらくこの手法自体がこの人の発明で、他にやっている人はいないのだろう。
見たところまだ若僧だが、いったいどういうことでこんな技術を身につけたのだろうか。まだ素人だが、オリジナルの曲もそれなりの魅力があり、また、演奏中の顔がまた面白い。苦しんだり笑ったり悲しんだり陶酔したり、よくもここまで表情が変わるものだ。しかしなにか引き込まれる魅力がある。
音楽にとって技術は付随的なものであり、音楽の魅力そのものとは関係がないとは知りつつも、こういう映像を見せられると心動かされてしまう。これは天才だと思う。そのうち世に出るのではないだろうか。
ここに赴任して間もない頃のことだ。
私が卓球が好きだと言ったところ、同僚のグレッグが、自分も卓球が好きで、小さい頃に近くに卓球を大好きな歯医者がいて、その人に兄と一緒に教えてもらったと言った。
ここで私はピンときた。2000年の10月、ここに出張に来たときにインターネットでLower Alabama Table Tennis Club(南アラバマ卓球クラブ)というのを見つけて卓球をしに行ったことがある。期待して泊りがけで行くと、クラブというのは名ばかりで、そこは単なるロナルド・ピータースというじいさんの家で、大変な目に会ったことがあった(卓球王国2006年1月号の逆も~ション第1回でそのときのことを書いた)。
このじいさんが歯医者だったのだ。州の選手権にたったの36人しか参加する人がいないこのアラバマ州に、歯医者の卓球狂が二人もいるわけがない。
そう思いながら私はグレッグの話をなにくわぬ顔で聞いていて、しばらくしてから「ところでお前の出身はブリュートンだろ?」と聞いてやった。グレッグは目を丸くして驚いて「何で知ってるんだ?!」と言った。ブリュートンはここドーサンから車で2,3時間はかかる田舎の小さい町だから、アメリカ人でも知らない人がいるし、ましてや日本人の私が知っているはずのない町なのだ。
しばらくグレッグを驚かせた後、タネ明かしをしてやった。世の中は、いや、卓球界は狭い。
私は趣味で卓球の単行本を集めていて、古本屋をよくまわっているので、おいてある卓球本はだいたいわかっている。新しい卓球本は意外とおいていなくて、ちょっと古めの伊藤繁雄著『攻撃卓球』あたりをよく見かける。
先日、ブックオフに行ったとき、卓球王国から出されている『ワルドナー伝説』が置いてあって驚いた。この本が古本屋においてある光景を初めてみた。こんな面白い本を売りに出す奴の気が知れないが、古本屋においてあったということで、なんだか売れた本の仲間入りをしたように思えて嬉しかった。
早く売れてほしいような、ずっと残っていてほしいような複雑な気持ちになった。
いつか私も本を出したいが、そのときにはブックオフに出回るくらい売れたいものだ。そりゃ無理か。
よく電話機のコードが、やたらとねじれているのを見たことはないだろうか。
数年前のことだが、私の隣の席の電話のコードが、下の写真など比較にならないくらいメチャクチャによじれていて、螺旋の形があちこち崩れるほどになっていた。
その電話を使っていた後輩は「俺の電話のコードはおかしいんですよ、すぐにねじれるんです」と文句を言いながらときどき受話器を何回転もさせながらねじれをほどいていた。
そこでもしやと思い、そいつが電話を使う様子を観察してみた。案の定、彼は受話器を本体に戻すとき、受話器をとったときと同じ方向に反転させて置いていたのだ。一回話すごとに自分でコードを一回ねじっているのだから、何日もすれば途方もなくねじれるのは当たり前だ。「お前が自分でねじってるんだよ!」と教えてやった。
そういう人はある確率でいるらしく、今の職場でも、まったくねじれていない人がほとんどの中で、30台に2台ほどが写真左のようにねじれていた。しかし、かつての後輩ほどねじっているものはひとつもみつからなかった。やはり彼は特別だったようだ。
しばらく前に日本に行ったとき、卓球仲間で酒を飲んだ。2番弟子の田村、3番弟子の小室、そして用具マニアの杉浦くんの楽しい面々だ。
店内で、対ドライブのブロックのやり方について議論が白熱し、店を出てまで議論が続いた。
議論の内容は、現代卓球の強烈なドライブをブロックするためには、弱いドライブをブロックするときと比較して、ラケットの角度をかぶせるだけではなくて、上から下に振らなくてはならないということだ。こうすることで空振りのリスクを減らすのが、現代の上手な人たちの常識になっているという話。ラケットを上から下に振っても、極端な下方でないかぎりカット性ブロックにはならないので、安定性も落ちることはない。
これを田村は最近気がついたらしく、「こんなに長い間卓球をやっているのに、まだ新しい発見がある。卓球は面白い」と言っていた。私はかなり前から気づいていたが、言葉にはしていなかった。卓球は面白い。