会場に行く前、津波の被害が大きかったところに状況を視察に行った。
その途中、今回のイベントのスタッフでかつ3番弟子である小室の自宅に行った。家族に被害はなかったものの、彼の家は二階まで津波が上がったのだ。
小室は「自分の家に協和発酵の方々が来るなんて信じられません」と興奮しながら、大破した家の前で記念写真を撮った。まさかとは思うが、家よりも卓球の方が大事であるかのように聞こえるのだが・・・。
昨夜、一瞬だけ雨が降って慌てたが、今朝は見事に晴れた。
天気予報によれば、降水確率は20%、風は1.5mだ。よほどのことがない限り、港南住宅のテニスコートで決行するだろう。適度に雲があるため、暑過ぎずちょうど良い感じだ。
協和発酵キリン男子卓球部の選手の他、前原正浩専務理事を初めとした日本卓球協会の面々も訪れることになっている。
一行は昼頃に駅に着くので我々が車で出迎えるのだが、イベント会場に来る途中で、あちこちを回って被災状況を視察してからイベント会場に到着する予定だ。その間は、精鋭スタッフである田村くんが会場で「お留守番」だ。得意のトラブルがないことを願うばかりだ。
「スタッフになった覚えはない」といえば、今野編集長から「条太さん、卓球王国の仙台特派員として写真撮って記事も書いてください。6月号に載せるのでイベント終わったらすぐにね」とメールが来た。仙台特派員になった覚えはないのだが。
いっそのこと今から書いたるか。見込みで。
「見事に空は晴れわたり、予想以上の観客数に協和発酵キリンのメンバーもいやがうえに力が入った」なんて。
飲み会ではもう一つ可笑しいことがあった。
飲み会の目的は、職場異動や退職をする人たちの送別会だったのだが、送別される本人が飲むとすぐに寝る人で、飲み会が始まって間もなく完全に意識を失ってしまった。
最後の記念品贈呈のときもまったく起きる様子がなく、ついには本人の意識がないままに床に寝せて記念品贈呈と記念写真を撮ったのだった。記念写真をとるためにみんなに囲まれた様子が、まるでゴルゴダの丘から運び降ろされたイエス・キリスト様のようで可笑しくてしかたがなかった。
この彼は、飲み会では毎回これで、本人は飲み始めたところまでしか記憶がないのが常だという。さらに、家でも毎晩酒を飲んでこのような状態になっているのだという。なんとも凄まじい人だ。これも、日本全国いたるところで繰り広げられる心温まる光景だ。
昨夜は職場で飲み会があったのだが、とても奇妙な体験をした。
卓球のことはほとんど知らないという同僚が「日本の卓球はなぜ中国に勝てないのか」と私にからんできたのだ。彼が言うには、卓球は四角いのと丸いののたった2種類のラケットしかない。ラバーも赤と黒しかない単純なゲームなのになぜ返せないのだとのことだ。
ロッテルダムで福原が中国のカットマンに負けた試合について「カットなんてのは俺が中学校の頃から卓球部のやつらが言っていたことだ。それを未だに返せないとは卓球の戦術は進歩していないじゃないか」などと言う。
なにしろベロンベロンに酔っ払っていて、なおかつ根本的に卓球を理解していないので、彼の力説ぶりがとても可笑しかった。
感心なのは、彼の高校生の娘さんは卓球をやっていないのに卓球ファンであり、日本だけが「後加工禁止ルール」を守って損をしているなどと踏み込んだ話をするのだそうだ。偉い女子高生もいたものである。
彼は別に卓球に文句をつけようとしているわけではない。ロッテルダムで岸川・福原組が銅メダルを獲ったときは家族で祝杯を上げたというほどの熱い男なのだが、根本的に卓球を知らないだけなのだ(それで熱くなれるというのも不思議だが)。
さてこの宴会でくだを巻く大人の姿、まだお酒を飲んだことのない青少年のみなさんから見て、楽しそうで羨ましいのか醜悪なのかどちらだろうか。なお、彼はこの後、2次会を前にして猛烈に具合が悪くなり、姿を消してしまった。
日本全国いたるところで繰り広げられる心温まる光景だ。
今日、仕事をしていたら今野編集長から電話がかかってきた。
「条太さん、ヤフーのトップニュース見た?」
なにやら緊急のようだ。
「見てませんけど、何ですか?」
「いや、自分で見てください。ビッグニュースですよ!」
胸騒ぎがする。蔡振華が脱税で捕まって自殺したとか、はたまた米国大リーグの最終戦を仙台での卓球勝負に決定したとか、何か途方もないことが起きたのだろうか。
「今、パソコンを見れないんで、教えてください」
「ダメ。自分で見てください。びっくりしますよ。」
「待てませんよそんなの!ぜーったい今教えてください!」
「しょうがないなー。あのね、ヤフーのトップニュースでね、オバマ大統領とキャメロン首相が卓球してるんですよ」
「ああ、そうですか。それで・・ええっと・・何ですか?」
「いや、それだけなんだけど。卓球は国境を越えたってことで。ガシアン、シーラ以来の左左のペアだし。」
「あー・・。そうですか。あー。」
「何そのガッカリした感じ。なんかムッとするんだけど」
というようなやり取りがあったのだった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110525-00000802-reu-int
ともかく、英国を訪問したオバマ大統領がキャメロン首相と卓球をしたようである。
今朝、会社に入るときに、守衛さんたちが「おはようございまーす」と挨拶をしているのに対して、社員たちがどのように返事をしているか耳を澄ましてみた。
一番多いのは「おはようございます」を省略して、その最後の音だけを「スーッ」と発音する人だ。
以前、アメリカから長期出張に来ていた人に「スーッてどういう意味なんだ?」と聞かれたことがある。そこで私は、真面目ぶって「あれは19世紀の産業革命の象徴である蒸気機関の、蒸気が漏れる音を再現しているんだ。自分が朝からエネルギーに満ちていることを表現しているんだよ」とデタラメを教えてやったものだった。
今朝、そのことを思い出して、よくもそんなバカバカしいことを言ったもんだとニヤニヤしながら歩いた。どこにいるよそんな奴。だいたい漏れちゃダメだろ蒸気。
もちろん私は普通に「おはようございます」と言う。
水谷の世界ランクが6位になった。たいしたものだ。メダルを取れなかったことを嘆く人もいるだろうが、世界選手権の男子シングルスでベスト8に入ったというのはもの凄いことなのだ。帰化選手である吉田を除くと、日本生まれの日本人が世界選手権の男子シングルスでベスト8に入ったのは、1985年エーテボリ大会の宮崎義仁までさかのぼらなくてはならない。実に26年ぶりの偉業なのだ。そしてもちろんこの成果は、世界選手権だけではなく、年間を通した大会での活躍で世界ランキングを上げ、有利なシードをもらったことなどを積み重ねた成果なのだ。
その上での世界ランク6位だ。日本男子が世界ランク6位以上だったのは、1983年の斎藤清の5位までさかのぼる。この斎藤と先の宮崎を除くと、1984年から2008年までの25年間、世界ランク20位以内に入った日本生まれの日本選手は一人もいないのだ(各年末時)。
水谷の偉大さを讃えるとともに、これだけの競技人口と熱心な指導者がいるにもかかわらず、この成績だということは、日本の卓球にはよっぽど大きな欠陥があるものと思われる。
とりあえず水谷のことが携帯のニュースで取り上げられたので嬉しかった。