忘年会

先週末は、友人たちと毎年恒例の忘年会を行った。

確かに先週末は寒かったが、田村がなぜ居酒屋の店内で風邪でもないのに重装備を解かないのかを追求する者はいなかった。

田村は、私がこのブログに書いたダブルスのレシーブの分析について「あんなことしてよっぽどヒマなんだね。とても普通の仕事をしている人には見えないよ。」と言ったので「と言いながら本当は感心したんだろ?」と3回問い詰めて認めさせてやった。

一緒に写っている女性は私が大学時代にアルバイトで家庭教師をしたときの教え子だ。たまたま今も仙台に住んでいるので、毎年忘年会だけしているのだ。卓球にはまったく関係がない。田村との対照が絶妙だ。

石垣/山梨ペア

引き続き、女子ダブルス決勝の石垣/山梨ペアと台湾ペアの決勝を見た。石垣も山梨も右利きだが、石垣はカット型で山梨は攻撃型である。相手の台湾ペアは右右のシェーク攻撃型。

先に紹介した、右と左のペアが重ならないコース取りは、実は右利きどうしでもカット型と攻撃型についてはそのまま応用ができる。カット型は通常、バックカットの方が安定している場合が多く、その意味では左の攻撃型と同じ役割を与えることができるのだ。

具体的にいうと、カット型は常に相手コートの向かって右半分に送り、攻撃型は相手コートの向かって左半分に送るようにするのだ。このようにすると、カット型にはバック側のサイドラインより外側にはボールが来ないので、フォア深く構えていれば良い。一方、攻撃型には、フォア側はサイドラインより外側にはボールが来ないので、バック側によって構えていれば良い。このようにすることで、お互いに大きく動くことなく重ならずにプレーをすることができるのだ(左図)。

もちろん、このコース取りには欠点がある。いつも相手の同じコースに返すことになるので、待たれることだ。だから例外は入れなくてはならない。しかし基本的にはこのようにすると非常に試合が楽になるのだ。

このコース取りは、よほど意識してやらないと自然にはできない。なぜなら、シングルスのときには特別なときしかやらないコース取りだからだ。想像してみよう。バックに来たボールを、強打するならともかく、ストレートにつなぎボールを打つことはあまりない。なぜなら、自分は今バックにいるのであり、次のボールをフォア深く打たれたら大きく動かされるからだ。同様に、カット選手がフォア側からバックカットをするときにストレートに送ることはほとんどない。自分が今フォアにいるのだから、次のボールをバック深く責められるようなコースにわざわざ送る理由がないからだ。しかしダブルスでは、シングルスなら大きく動かされる、まさにその領域にパートナーが万全の体勢で待ち構えているわけなので、それで良いのだ。

シングルスの感覚でやると、パートナーを大きく動かしてしまうコース取りになってしまうのは、簡単に言えば、シングルスでは自分が大きく動かなくて済むようなコース取りをするのだが、それがダブルスではその自分の位置にパートナーが入らなくてはならないことを意味するので、大きく動かざるをえないということなのだ。故に、このコース取りはよほど意識してやらないと自然にはできない。

この試合の石垣と山梨のコース取りは、まさにシングルスのそれであった。山梨はつなぎボールのほとんどを相手コートの右半分に送り、したがって石垣は思いっきりバック深く打たれ、山梨はそのボールに当たらないように物凄く大きくバック側によけなくてはならないのだ。石垣も相手コートの左半分に頻繁に送り、そのため山梨はこれまたフォア深く責め立てられて動かされることを余儀なくされていた。下の写真は、山梨がレシーブしたところと、次のボールを石垣が打っているこの試合の典型的なシーンである。石垣、山梨ともに、考えうる最大の動きを強いられるコース取りになっていることが分かる。右の写真の石垣のボールのブレをみると、石垣は相手のフォアからミドルあたりを狙って打っていることが分かる。だから次のボールは当然のごとく山梨のフォアクロスに打たれるということだ。山梨は、この位置からパートナーの石垣をよけながらフォアクロスのボールを取りに行かなくてはならないのだ。これはいかに不利なことかおわかりだろう。

結局、石垣/山梨ペアは台湾ペアに勝って優勝したので、このコース取りの別の側面、つまり相手にバックを使わせるとか、コースを決めないで振り回すという利点が効果を挙げたのだと思う。ただ、もし上に書いたようなコース取りをしたらどうだったのか、負けていたのかあるいはもっと楽に勝っていたのかと想像を膨らませてこの試合を見たのだった。

私としては、定石通りのコース取りをした方がもっと楽に勝てたのではないかと思えて仕方がない。ときどき石垣のフォアハンドの反撃が決まっていたのだが、山梨がほとんど相手の右側につなぐので、なかなか石垣のフォア側にボールが来ず、逆に写真のようなシーンが非常に多く、最初から不利を意図したかのようなコース取りに思えてしかたがなかった。

松平/丹羽ペア

さて、対する松平/丹羽のコース取りが次だ。

【松平】右利き
クロスにレシーブ 13回
ストレートにレシーブ 17回
計30回
相手の選手のフォアサイドにレシーブ 6回
相手の選手のバックサイドにレシーブ 24回
計30回
面白いでしょう。松平は、パートナーがどこに打たれるかなどおかまいなしに、とにかく相手のバックサイドにレシーブしていたのだ(あるいは単にコース取りの知識がなかったか・・)。

【丹羽】左きき
クロスにレシーブ 9回
ストレートにレシーブ15回
計24回
相手の選手のフォアサイドにレシーブ3回
相手の選手のバックサイドにレシーブ21回
計24回
丹羽も松平より徹底して相手のバックサイドに送っていたことが分かる。
たった3回だけ相手のフォアサイドに送っているが、3回とも左利きの水谷に送ったとき、つまり、パートナーの右利きの松平のフォアクロスには来ない場合である。岸川のフォアサイドには一度もレシーブしていない。そんなことをしたら、岸川にフォアハンドで松平のフォアクロスを打たれるからだろう。

水谷/岸川と松平/丹羽、いずれもシェーク裏裏の右と左のペアだが、その戦術はまったく対照的であった。
また、水谷/岸川ペアでは戦術をより徹底していたのは岸川であり、松平/丹羽ペアでは丹羽であった。つまり、水谷と松平がそれぞれのパートナーより多くの自由度をもって試合をしていたのであり、これらの選手が試合をリードする立場にあったことも見て取れる。

テレビの解説者もこういうことを解説したらよさそうなものだが、いままでそのようなポイントに触れた解説者もアナウンサーも見たことはない。もったいないことだ。
なお、試合は松平/丹羽ペアが4-2で勝って決勝に進んだ。

ジャパンオープンの分析 水谷/岸川ペア

このブログを通して知り合いになった卓球ファンの方から、今年のジャパンオープンの映像のDVDがこってりと送られてきた。

さっそく1枚めを見てみると、男子ダブルス準決勝、水谷/岸川vs松平/丹羽の試合だった。
そこで、例のダブルスのコース取りを確認するため、その代表として全6ゲームを通したレシーブのコース取りを丹念に記録してみると、なかなか面白いことが分かった。
両ペアとも、右利きと左利きのペアだ。データを取ったのは、レシーブをストレートにしたかクロスにしたかと、それが相手の選手にとってフォアサイドだったかバックサイドだったかだ(両ペアとも右利きと左利きなので組み合わせによって変わるのだ)。センターライン上にレシーブされたボールは、角度がクロスに近いのでクロスとして扱った。

各選手の結果は次のようになった。

【水谷】左利き
クロスにレシーブ 6回
ストレートにレシーブ19回
計25回
相手の選手のフォアサイドにレシーブ7回
相手の選手のバックサイドにレシーブ18回
計25回
圧倒的にストレートにレシーブしていることがわかる。ストレートにレシーブすれば、相手は絶対に右利きの岸川のフォアクロスには打てないからだ。右側に送ったボールを左側から打つことは世界チャンピオンでも不可能である。バカみたいに自明な事実なのだが、スポーツではこういうことが意外に気づかず、なおかつ大切なことなのだ。

【岸川】右利き
クロスにレシーブ 28回
ストレートにレシーブ 3回
計31回
相手の選手のフォアサイドにレシーブ 14回
相手の選手のバックサイドにレシーブ 17回
計31回
お分かりだろうか。岸川は、水谷にもまして、相手にとってフォアだろうがバックだろうがおかまいなく、徹底的にクロスにレシーブしているのだ。もちろんそれは、次のボールを左利きの水谷のフォアクロスに打たせないためである。岸川は、6ゲームを通してたった3回だけストレートにレシーブしているが、その3回とも右利きの松平のバックサイドだった。左利きの丹羽には一度もストレートにレシーブしていない。水谷のフォアクロスをフォアハンドでぶち込まれたんではたまらないからだろう。

つまりこのペアは、少なくともこの試合では、相手のバックだろうがフォアだろうかおかまいなしに、とにかくパートナーのフォアクロスを打たれないことを何よりも重視してコース取りをしていたのだ。そのことによって相手に待たれる不利よりも、フォアクロスを打たれないメリットの方が勝ると判断していたということである。

そしてこれは、レシーブに限らず大きなラリーでも傾向は同じで、特にどちらかのペアが後陣に下げらて長いラリーになったときに、より徹底されていて、それはもう頑固なほどであった。

ダブルスの秘密

私は卓球の本を300冊以上コレクションしていて、すべて読んだが、面白いとか、感動したといったことを除いて、本当に卓球の役に立った本は一冊しかない。

今野さんが編集し、ヤマト卓球から1991年に発行された『スウェーデン最強の秘密』だ。もう20年近く経つのに、これを越えるどころか比較できる本さえ未だにない、と自分が書いたわけでもないのに自負している。

卓球理論に限らず、理論には次の4種類がある。
①すでに知られていて、確からしいもの
②すでに知られていて、怪しいもの
③知られていなくて、確からしいもの
④知られていなくて、怪しいもの

当然、書く意味があるのは③だが、そんなものはめったにないから、通常は①でお茶を濁している。実は①にすらなってなくて実際には②、つまり迷信を書いている場合もあるし、③を書いているつもりで実際には④の珍説奇説ばかり書く人もいる。

この本は、他の本にはひとつもない③が複数書かれている、本当に貴重な本なのだ。

その中のひとつが、ダブルスのコース取りだ。この本の著者はまず、現代卓球ではダブルスは右利きと左利きのペアが有利であり、1977年以来、世界チャンピオンはすべて右と左のペアであることをデータで示し、そのペアのコース取りのポイントを示す。この、右と左のペアに絞って解説する精密さ自体が斬新であった。今までそんな本はなかったし、これ以後もない。

右と左のペアはお互いに重ならずに得意のフォアファンドが打てるので有利だが、最大の欠点は、フォアクロスを切られて選手が重なってしまうことにあるという。だから、これを防ぐため、パートナーのフォアサイドに打たれないコースに打つ戦術が重要だというのだ。

引用してみよう
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この欠点を補うために、右ききと左ききのペアは、相手が自分のコートのフォアを切るような角度で打ってこないように、自分の打つコースを考えなければいけない。たとえば、右ききのワルドナーが、左ききのアペルグレンと組む場合には、ワルドナーは執ようにボールを相手コートのミドルや左側に送り、アペルグレンのほうは相手コートのミドルか右側に送る。そして、決定打だけは全面に打ち込む。
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「パートナーのフォアサイドを切られないようにコースを考える」とか「パートナーと重ならないように」という一般論はそれまでもあったが、具体的にどうしたらよいかは今ひとつわかっていなかった。それが、このように個別に具体的に説明されると、突如、その偉大な効果が目の前に立ち現われたのだった。そしてワルドナーとアペルグレンのペアが、ユーナムキューとキムタクスのペアと試合をしているビデオを見ると、まさにお互いにそのように打っているではないか。言われてみればこれほど明白なことを自分で気がつかなかったことに、私は頭を殴られたようなショックを受けた。そして、日本の卓球界でこれを明確に言っていた人は誰もいなかったのだ。いたのかもしれないが、少なくとも卓球マニアの私の耳に入るような形では情報は発信されていなかった。

こういうコース取りにちゃんと「フォアクロス封じ」とか「固定サイド攻め」とか名前を付けて卓球人は共有すべきだと思う。

今でもこの本は私のバイブルである。

50万円のラケット

一本50万円のラケットの情報が寄せられた。

http://item.rakuten.co.jp/nikkansports-shopping/tn-000-niktaku

いやはや物凄いもんだ。なんでも、バイオリンの名器「ストラディバリウス」と同じ材質の木を使っているんだそうだ。

バイオリンに必要な材料の特性がラケットに必要な特性と一致するのか興味深いところではある。誰か金持ちの人が買って打たせてくれないだろうか。でも、買ってももったいなくてラバーも貼れないんじゃないだろうか。

さすがに限定一本のようである。

ペンホルダーのバックブロックについて

以前、雑誌にも書いたが、近年の日本卓球界でもっとも大きな技術革新があったのはブロックである。ヨーロッパが中国を凌駕した80年代末からランダムに対するブロック練習が導入されたのが大きな要因だろう。

どのようにして導入されたかはよく分からないが、少なくとも私は、当時今野さん(現卓球王国編集長)がやっていたTSP卓球トピックスという雑誌で新しい練習方法を読み、毎月のように目の前が開けていくような経験をしていた。私の周りの卓球好きたちはみんなそうだった。日本の卓球の進歩のかなりの部分は今野さんによるところが大きいと私は本気で思っている。

日本選手が中国よりバックが苦手だったのは1950年代から言われていたことである。だからバックの強化というのはずーーーーーーーーーっと言われていたのだ。しかし何がポイントなのか、どう練習したらよいのかは誰もわからなかった。

今なら分かる。ランダムコースでの両ハンドの練習をすればよかったのだ。日本選手はフォアハンドを重視していたため、バックブロックのとき、相手の攻撃球を返せるほど面を下に向けることができなかった。80年代までの日本のペンホルダーの選手が実戦でバックブロックをする様子を写真などで見るとそれがよくわかる。河野を例外として、全員がかかとを上げて体全体を上にずらして打球している。なぜそうするのか。「伸び上がる力を利用して打球する」などと言う人がいかにもいそうだが、こういうのが典型的なインチキな理屈なのだ。

彼らは、打点を体の下方にズラすことでラケットの角度を出すために飛び上がっていたのだ。仮に体全体が15cm上にズレたとしよう。肩からラケットまでの距離を50cmとすると、この15cmはラケットの角度にして18度の変化をもたらす。ネット上空をネットと同じ幅の範囲内を通すために許容されるラケット角度の範囲は6度ぐらいだから、これは十分に意味のある行為だったのだ。ブロックをするときでさえ飛び上がらないと角度が出ないのだから、それよりラケットをかぶせなくてはならない強打などできるはずもなかった。

ところが、コースが一定だったり規則的な練習の場合、足を組み替えたり打点を体の右側にズラしたり、あらかじめグリップを変える時間があったりするために、このバックの弱さが現れないのだ。当時は、ランダム練習という「応用」は、まずワンコースで何千本も続ける「基本」が「完全に」できてからやるものだという間違った基本信仰があったため、誰もがワンコースあるいは規則的な練習ばかりをやっていたのだ。そしてその「基本」ができたころには、すっかり実戦で使えないスタイルになってしまうというわけだ。もし相手にランダムに打ち込んでもらう練習をしていれば、実戦で使えないバックになっていることはすぐにわかっただろう。

こういう間違った基本信仰は他にも沢山あると思われる。中国にだってあるはずだ。これらをひとつづつ潰していって中国よりも効率のよい練習に改造してこそ、中国を倒すことができるのだと思う。

フットワークについて

今月の卓球王国の原稿にフットワーク練習について書いた。

ある練習あるいは技術が勝つために有効か否かを判断するのは極めて難しい。
実際に試合で勝ったとしても、本当にその技術を練習したからなのかどうかは証明できない。それをしなくても勝ったかもしれないし、別のことをすればもっと簡単に勝てたかもしれないと、いくらでも思い通りの主張をし続けることができる。

だから、80年代から90年代に、日本の卓球が低迷した時期、日本の卓球は古いからダメなんだと主張する人がいる一方で、昔の日本選手のようにやらないから弱いんだと正反対の主張する人たちもいた。

これらのどちらも証明も否定もできないが、私は卓球は進化していると信じているので、前者が正しいと考える。これは信念といってよい。

私が卓球技術を考えるとき、よりどころは二つしかない。ひとつは物理的に理にかなっているかどうかだ。理にかなっているといっても、『弧線理論』のようなインチキな後付けの理屈ではダメだ。誰が聞いても未来永劫100%確実に間違いない理屈しか使ってはいけない。たとえば、ラケットを速く振るほどボールは速く飛ぶ、面を下を向けるほどボールは下に飛ぶ、こういった、絶対確実なことだけが信用に値する。もうひとつは、現代の強い選手が実際に試合でどのように動作しているかだ。練習のときの動作は信用できないし、まして言っていることはさらに信用ならない。あくまで実戦でどうやっているかだけを見るのだ。もちろんそれは将来、否定されるものかもしれないが、理想的な動きを考えつくためには卓球はあまりに複雑である(だからこそ技術は進化してきているのである)。それができない以上、現在手本を参考にするしかないと思う。

石川佳純とシンガポールの馮天薇との試合をビデオで見た。5ゲーム通して石川のフットワークを見たが、交差歩を使った回数はゼロだった。バックサイドのサイドラインの外側まで回りこんだ後、フォアに飛びつくときでさえ、近い方の足一本で3回飛んで、交差歩を使わずに飛びついていた。一方、相手の馮天薇は、台から離れて大きく飛びつくときに2回ほど交差歩をしたのを見た。おそらくこれは、全体のフットワークの1%以下の頻度である。

この事実から、少なくとも女子卓球において、交差歩を練習するのはまったく時間の無駄だと私は考える。もちろん、「交差歩は試合ではそのまま役に立たなくても、動きの基本であるから絶対に役に立っている」という主張もあるだろう。しかしそれには何の根拠もない。根拠のないものは信じない。それよりも選手が実際に試合でやっていることの方を根拠にすべきだ。

今はビデオがあるので、一流選手がどのように動いているか、誰でも正確に見ることができる。このようにひとつひとつを考えていけば、もっと効率の良い練習や技術を発見できるのではないかと私は思っている。

便利なアクセサリー

私は、いかにも非常時に役に立ちそうな「実用的な物」にとても魅力を感じる。

キーホルダーなんかでも、ただの絵柄よりは、栓抜きがついていたり方位磁石がついてたり、定規の目盛りがついていたりすると欲しくなる。しかし考えてみると、これらを携帯していて本当に役に立つことはほとんどない。そんなものを使わなくてはならない状況にはならないし、品質にも問題があって、下の写真の栓抜きなんて、実際に使ってみると隙間が小さすぎて瓶の口に引っかからないのだ。

帰任するときに、職場のアメリカ人から、卓球を教えてくれたお礼にと、私の名前を彫ったアクセサリーをもらった。よく見ると小さなナイフと爪とぎが折りたたまれていた。私は日常生活でナイフを持って歩いたことはないので、いかにも不必要なものに思えたが、せっかくもらったからとズボンのベルトのところにつけてみることにした。

間もなく驚いたのは、このナイフがとってもよく使う機会があって便利なことだ(さすがに爪とぎは使わない)。
梱包物を開けるとき、封筒を開けるとき、なにかのこびりついたものを剥がすときと、意外によく使うのだ。先日は田丸さんに例の資料をいただくとき、二つ折りになっていたのを半分に切らなくてはならない状況になったので使った。こんなに役に立つアクセサリーというのもそうないだろう。

今までなくて済んでいたので当然、なければないでどうにかなるのだが、あるととても便利なのだ。そういうわけで、これは私の大のお気に入りとなり、くれた人にも「本当に役に立ってる」とあらためてお礼のメールを出した。

田丸さん健在!

昨日、荻村伊智朗と上原久枝さんにちなむ会である智久会に参加した。
2006年以来、4年ぶりだ。

そこで田丸さんにお会いした。外見はまったく変わっておらず、すこぶるお元気のようでなによりであった。

気になっていた名刺を見せていただくと、講習会が71回に更新されていた。最近では講習会に出ても自分の方がよく知っていることばかりで意味がないので、出なくなっているのだという。気づくのが遅すぎるような気がするのだが。

さらに、独自の卓球理論をまとめた書類をいただいたので、ご本人の了解のもと紹介しよう。少し口頭でご説明いただいたのだが、かなり難しく、ちょっとわけが・・・。
それに、まるで鎧を着けた落武者のような白目の人物がかなり不気味であり、夢に見そうな卓球理論である。
知性と精神力に自信のある方はぜひとも解読に挑戦してみてもらいたい。