バラエティー番組

昨日のヤフーニュースで、バラエティー番組でアイドルが誰かの物マネ芸を見てムッとしていたら、それを本気にした視聴者が「態度が悪い」とネットに悪口を書き込んで、アイドルが謝罪をする事態になったという。それに対して関係者が、そのアイドルはバラエティーでウケるために自分が期待されている態度を取っただけであり、本気にしないでほしいとコメントをしていた。

そういえば私の祖母は、水戸黄門に出てくる悪代官や庄屋を見て本当に意地の悪い人間に違いないと思い込んでいたものだった。何かの拍子に、祖母がそういうことを言ったのだ。私は「そんなに根性の悪い役者が撮影にちゃんと呼ばれて打ち合わせをして言われたとおりの台詞を言うと思うのか」と言ったが、祖母は「あんなに意地の悪い顔をしているんだから絶対に性格の悪い人のはずだ」とゆずらなかった。

これに比べれば、バラエティーに出ているアイドルの言動を本気にする人はまだマシだ。なぜなら、バラエティーは娯楽ではあるけど、明確なフィクションではないし、むしろタレントの素の状態を見せていると思わせることによってこそ視聴者の興味を引いているものだからだ。演出だと言ってしまったら面白さは半減するだろう。視聴者が本気にするように見せているのだから、本気にする視聴者が間違っているとは言えない。まあ、これは客商売の宿命のようなものだと諦めるしかないだろう。

フィギュアが結婚!

ヤフーのニュースを見ていたら「フィギュアの無良崇人 一般女性と結婚」とあった。アニメのキャラクターが歌手デビューをしたりマンガの主人公の葬式を出したりする昨今、今さらフィギュアが結婚したくらいで驚くか!と思ったら、フィギュアスケートの選手のことらしい。

まったく紛らわしい。省略するからだ。携帯電話も「携帯」だけではコンロなのかトイレなのかわからない。常に「携帯電話」と言いたいものだ。

アンビリバボー卓球台!

録画をしてあったテレビ番組『アンビリバボー』を見ていたら、不意に卓球台が映し出され目を奪われた。

ひとつは、卒業記念に「ファンキーモンキーベイビーズ」というバンドを学校に呼んでライブをしたという高校の話で、体育館に置いてあった卓球台が映っていてTSPという文字が目を引いた。

その同じ番組で、今度は75歳で定時制高校を卒業したお爺さんの話になり、学校で楽しく運動をしている場面でカワイの卓球台だ。

当然私はテレビを見ながら「おおっ!」と声を出さざるを得ない。ひとつの番組で偶然にも卓球台が2度も画面に映ったことに気がついたのは、全国何百万人という視聴者の中でも数えるほどだろう。

いや、だからどうだってわけじゃないですが。すみません。

ビリヤードの常識

月曜から職場の飲み会があったのだが、同僚のYくんがビリヤードの熱心な選手であることがわかった。大会に参加しているようなのだ。

以前からビリヤードで不思議だと思っていたのは、2回も3回も跳ね返る場合の行き先をどうやって知るのかということだ。基本的には入射角と反射角は同じだとはいえ、いちいちそんな予想を立てるのではなく、台の縁に書いてある印を基準にして、どの方角に打ったらどこに来るかという基本線のようなものがあって、そこからのズレを勘で見積もって修正をしているのに違いないと思っていた。

Yくんにその点を聞いてみると、途中までは当たっていたが、その先は予想以上だった。実はビリヤードでは、台の縁の点を基準にして、どの方角に打ったら最後にどこに来るかというのを導き出す公式があるそうなのだ。だから選手は小数と小数の掛け算を暗算でして、打つ方向を決めているのだという。もちろん、ボールにかける回転や強さに応じて跳ね返る方向がズレることも個人差としてあるだろうから、その分はズラして打つことになる。写真右がYくんだ。

また、私はよくテレビでやる曲芸が「一見難しそうだが、セットをしてしまえば比較的簡単にできそうな見かけ倒しの曲芸」に見えて嫌いなのだが、それについて意見を求めると、そういう誤解はよくあるが、あれは見かけほど簡単ではないという。まずセットを考えることは難しいし、セットしたとしても、やってみればわかるがなかなか思った通りにはボールは動かないのだという。聞いてみなければわからないものだ。

青森の卓球人

翌朝は、東アジアホープス大会の青森予選会場に行って、開会式でレーティングの簡単な説明をした。

そこで大会運営をしていた方と話したのだが、なかなか印象的であった。まずこの方「青森卓球連盟で仕事を初めて52年です」というのだから尋常ではない。1977年に世界チャンピオンとなった河野満を「青森商業にひっぱった」というのだから歴史を感じる。

青森といえば、私が卓球王国3月号に書いたとおり、卓球界の偉人が目白押しだ。古くは福士敏光、今孝、宮川賢次郎、佐藤博治から始まり、渋谷五郎、成田静司、村上輝夫、河野満とまったく切れ目がない。近年の青森山田は別として、とにかく青森の卓球はお話にならない強さである。

その方に「どうして青森はこんなに強いんですか」と聞くと「雪で外に出られないし他にやることもないから」となんとも率直な答え。やっぱりそうか・・・。その虚飾の無さにこそ、ゆるぎない自信を感じたのであった。

青森の夜

金曜の夜から土曜にかけて、日本卓球協会のレーティングの普及活動のため、青森に行ってきた(推進チームのメンバーなのだ)。青森にはずっと前に車で浅虫温泉というところに行ったことがあるだけで、新幹線で行くのは初めてだった。最寄の駅から青森駅まで3時間弱もかかり、同じ東北なのにこんなに時間がかかるのかと思った。

ホテルは「ホテルアベスト青森」というところで、一泊3700円と異様に安かった。カプセルホテルでもない普通のホテルだ。他のホテルの値段を見ると、普通に6000円とか7000円なので、青森の相場が安いということではなく、そのホテルだけが異様に安いのだ。行ってみると、多少古いが、なに不自由のない立派なホテルだった。ただ、旧名である「ホテルアラスカ」という看板がデカデカとあり、どこがホテルアベストなのかわからず、ありもしない「ホテルアラスカの間の入り口」を探してしまったのが困ったくらいだ。

夕飯はホテルの人から紹介された近くの居酒屋にひとりで行った。ホテルからの紹介券をもっていくと10%引きだという。

店名は書かないでおくが、なかなか味わい深い店だった。お勧めは何かと聞くと、ホタテ焼きだという。青森ならホタテが有名だと同僚から聞いていた通りだ。ここの女将さんが「生きたままのホタテを出す」と強調したのが可笑しかった。注文をすると、その生きたホタテとやらが貝殻の上に乗って出てきて、火をつけられた。生きているわりにはピクリとも動かないので「動きませんね」と言うとその女将さん、「まだ熱いのに気がついていないんですよ。今に動きますよ」と言った。ホタテが何かに気がつくという発想が面白く笑いを堪えきれない。

しばらく沸騰するまで見ていたが、ついにホタテが動くことはなかった。「動きませんね」と言うと、「ホタテから汁が出てきたでしょう。これが生きていた証拠なんです。熱いから動いて汁を出したんです」と言う。動くというのは初めからそういう意味だったのか、本当は死んでいたのか、確かめるのも気まずいので、それ以上は追求しなかった。

食べてみると美味しかったのでよかったのだが、それにしても本当は死んでいたのだろうか生きていたのだろうか。動かないのは最後までホタテが「気づかなかった」からなのだろうか。古代から貝殻を山と積み上げられるほど人間にいとも簡単に獲られて食われ続けてきた貝類というものの、自己犠牲と間抜けの生態に思いを馳せた青森の夜であった。

ブレる男

昨日、例の「ブレる男」Nとエレベーターで一緒になった。ふと見ると、普段はかけていないメガネをしている。「あれ?メガネかけてたっけ?」と聞くと、なぜかその質問には答えず、気落ちしたように「メガネもブレブレです」と言った。

冗談なのかなんなのか意味がわからないが、ともかく面白かった。

ところで先日来、人の性格について「ブレる」とか「ブレない」とか表現されるのを見聞きすることが多く、一種の流行り言葉であることに気がついた。しまった。私は流行り言葉を使うのはとても嫌なのだ。自分が考えた言葉や用法でなければ辞書に載っている言葉以外は使いたくない。不良たちが使う省略形はもちろん「心が折れる」「元気をもらう」などという、何か気が利いたつもりのような奇妙な比喩も絶対に使わない。軽薄な感じが嫌なのだ。

私はNが「ブレない人」と言ったとき、オリジナルの上手い表現をしたものと思って面白かったのだが、流行り言葉だと知ってがっかりしてしまった。そういう言葉を使うということが「ブレる」ということだとNに教えてやらねばなるまい。あ、使ってしまった。

鋭利なラケット

近所のホームセンターで卓球のラケットを見つけた。ラケット2本にボール3個にケースまでついて、なんと598円。殺人的な安さだ。「本物の臨場感!」「白熱のゲームで大興奮!」とか書いてある。実際に卓球をすれば臨場感があるのは当然だわな。そもそも臨場感の意味、わかっとるのかいな。

次に気がついたのは、このラケットの異様な鋭さだ。ラケットの角が鋭い鋭い。指が血だらけになること間違いなしだ。指に刺さる棘も一本や二本ではなさそうである。そういう意味では598円でも高いといえるだろう。

大倉くんのお父さん

昨年末に、中学で卓球部の顧問をしている青山さんと酒を飲んだとき、面白い話を聞いた。

卓球部に入っていなかった生徒で大倉くんというのがいたのだが、その大倉くんのお父さんが卓球が上手だという話が耳に入ったという。だいたいそんな噂は大げさな話で、実態はちょっと卓球が上手な素人か、良くて中学校のとき卓球部にいたという程度の話に相場が決まっている。

ところが後で知ったところによると、この「大倉くんのお父さん」というのは、1983年東京大会で男子ダブルスで世界3位になり、現役引退後は東北福祉大学に留学生としてやってきてろくに練習もせずに全日本学生選手権を4連覇した、楊玉華だったのだという。「卓球が上手い」どころの話ではない。ひっそりと日本に帰化していたのだ。

父兄参観か何かのときに楊さんが卓球部を覗きに来たことがあったそうで「たまたま部活をやっていなくて本当によかった」と青山さんは胸をなでおろしていた。さすがに楊さんの前で部活をする気にはならんわなあ。

それにしても楊玉華、「大倉くんのお父さん」とはまた上手く化けたものだ。そうとも知らずに試合を挑んだり、あろうことか卓球を指導したりする愚か者が出てこないうちに正体を明かしたほうがよいのではないだろうか(東北福祉大卓球部の監督をやっているので、別に隠れているわけではなく私が知らなかっただけなのだが)。

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