山田さんの強運

先日ご紹介した山田さんから、ある写真が送られてきた。なんと、パーソンとフェッツナーに挟まれてピースサインをする山田さんの写真だ。パーソンとフェッツナーは確かに日本に来ていたが、東京ではメーカー関係の人しか会える場はなかったはずだし、その他には長野県に講習会に行っただけであり、東京在住の一般人である山田さんが彼らと会えるはずはない。

いったいどういうことなのか聞いてみると、なんと仕事で偶然長野県に出張していて駅のホームでばったり会ったのだという。それだけではなくて、彼らに同行していたドニックジャパンの方から「条太さんのブログの山田さんですね」と声をかけられてまんまと写真を撮ってもらったのだという。

まったくなんという強運だろうか。山田さんほど強烈な(そしてどこかオカしい)情熱を持っていると、卓球の神様が「めんどくさいなあ」とか思いながら何らかの采配をするのだろうか。

この話を今野編集長にすると「条太さんのファンは変わり者ばかりなんじゃないの?」と言う。「いや、ほとんどの人は普通なんでしょうけど、わざわざ会いに来るくらいの人だから変わり者なんでしょ。今野さんだってTSPトピックス時代にそういう人がいたでしょう?」と私。すると今野さん「いや、会いに来たのは条太さんぐらいだったよ」 

そういえば私は、1997年のジャパンオープンの会場で、「ヒゲを生やしている」という情報を頼りに報道席に座っていた今野さんに見当をつけて話しかけに行ったのだった。そうか、そういうことか・・・・。

日本の卓球の理想主義

昭和22年の卓球雑誌にも技術コーナーがあった。そこを見ると「2年間はボールから目を離すな」というようなことが書かれていて、この頃から日本の卓球の理想主義が定着していたことがよくわかる。これは民族性といってよいだろう。これが複雑多様な卓球には向かない考えであり、その後の数十年の停滞を招いたと私は思っている。

それにしても、いったいどこに「球から目を離そうと努力する」人がいるというのだろうか。

昭和22年の卓球雑誌

『スウェーデン時代』のDVDと同時に、古本屋に注文していた卓球雑誌が届いた。昭和22年の卓球雑誌『卓球界』だ。卓球王国の大先輩と言うところだ。「藤井選手はなぜ強い」なんてあるが、もちろん藤井寛子でも藤井優子でも藤井基男でもなく、藤井則和だ。

いやはや、なんたる極楽だろうか。どうせちゃんと読みはしないが。

DVD『スウェーデン時代』届く

日本語字幕のついた『スウェーデン時代』が昨夜届いた。

なりゆきで宣伝用のダイジェスト映像を作ることになって作業をしている。内容的にはどの場面も捨てがたい一方、映像的にインパクトのある部分はそれほどなく、台詞がいい感じの部分を拾ってみている。さて、どうしたものだろうか。

70時間の映像

DVD『ザ・ファイナル』のウェブでの注文受付が始まったようだ。

全日本で撮影が終わると、撮影を担当してくれたプロダクションから、カメラ4台で合計70時間分の映像が入ったDVDが15枚送られてきた。画面には撮影日とカメラとタイムコードが写しこまれている。これを見ながらパソコンで必要なラリーをつなげてDVDに焼き、それをプロダクションに送り返して高画質で編集をしてもらうのだ。まず70時間見るのが大変だった。70時間ということは、1日8時間づつ見て9日だ。もちろん、ラリーの間などは早送りをするから実際にはそれより短いが、それでも大変な量であった。

それらの映像から、ファインプレーや面白いアクシデントなどを選んで80分ほどのDVDを作るのだが、問題は、どの程度のプレーを選んでいけば80分になるのか見終わるまでわからないということだ。70時間を見直すわけにはいかないから「これは使うかもしれない」と思うものをすべてマークしていって、徐々に候補を絞っていき、最後に80分にするという作業になった。

このようなことで、大変効率の悪い作業であったが、プレーの水準がだいたいわかってきたので、来年はもっと効率よくやれることだろう。

必勝戦型『初心者マン』

ビデオ『90年代の卓球』より、初心者のふりをして相手を油断させて勝つ戦型「初心者マン」の画像を紹介する。単に初心者のふりをしただけでは当然、点など採れはしない。ラケットの角とかエッジとか偶然まちがって入ったかのような打球で得点を重ね、気がついたときには取り返しのつかない点差になっている、という高等戦術である。

当然のことながらこれを実現するためには、想像を絶する技術が必要となる。普通に戦った方がよほどマシである。「それなら何のためにこんな戦型を目指すのか」と言われると答えられないのが辛いところだ。

もちろんDVD『ザ・ファイナル』とは何の関係もないのでそこんとこヨロシク!

ダイジェスト版完成

昨日、編集部から『ザ・ファイナル』のサンプル版が送られてきたので、さっそくウェブでの宣伝用に2分間のダイジェスト映像を作った。『ザ・ファイナル』自体が全日本のダイジェストなので、ダイジェストのダイジェストということになり、なんだかとっちらかってしまったが、ともかく完成させ今朝、編集部に送った。近々宣伝ページにアップされることだろう。あまりのかっこよさに腰を抜かすこと間違いないので接骨院を予約しておいた方がよいだろう。

それにしても、撮影前は、たった6日間の撮影でそんなに都合よくスーパープレーや珍プレーがあるのだろうかと不安にもなったが、できてみると今まで作らなかったのが不思議なくらい「作って当然」の作品になった。全日本は映像素材の宝庫だったのだ。 

 この作品が市場でどの程度受け入れられるかは未知数だが、少なくとも「自分が見たいと思う作品を作る」という目標は達成できた。編集しながら何十時間も映像を見たのに、未だにスーパープレー集に興奮し、珍プレー集にニヤリとし、最後の歴代優勝者の名前が出るところで目頭が熱くなる(鉄道マニアが時刻表を見るだけで嬉しいのと同じだ)。

テレビ局とITTFはその調子でやってほしい

卓球の映像作品における私の手本は明確だ。卓球王国2010年7月号でも取り上げた、米国リフレックススポーツ社のスーパープレー集『Wonderful and Wacky World of Table Tennis』だ。卓球をどのように撮影し編集をすれば面白くなるか、その答はすべてこの作品の中にある。ある時期は会社の昼休みも毎日弁当を食べながらこれを繰り返し見ていたので、少なく見積もっても通しで500回は見ていると思う。それほどこの作品は絶対的に素晴らしい。この作品の魅力を構成している、カメラワーク、編集、BGM、珍プレー集などをすべて吸収し、それに大会のドキュメンタリーとしての記録性を加えたのが今回完成したDVD『ザ・ファイナル』なのである。まだまだ及ばないところも多いが、全日本のダイジェストならではの魅力もあるので、まずまずのものになっていると思う。

DVDの製作が決まってからは、これまでのようにテレビ局やITTFに撮影の仕方を提案することを一切やめた。それどころかそういうことをしてきたことを後悔した。だって今ごろ思い出して改善されたりしたら私の出る幕がなくなってしまうではないか。

実際には、相変わらずメインカメラの位置は高いし床からはアップでボールを激しく追って見にくい撮影をしてくれているので、なんとも心強い限りである。テレビ局とITTFは、変な気を起こさずぜひともこの調子でやってほしい。

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