師弟愛

3番弟子の小室からメールがきた。小室はネット界では『フェイク弟』と名乗ってこまごまと活動しているようだが、このブログを読んで気になることがあるとのこと。

「気になって仕方がないのですが、兄弟子の戸田さんは卓球も条太さんよりワンランク上となるといったい何関系の弟子なのでしょうか?」

さすが3番弟子、愚問である。これに対する答えとして、戸田がかつて『覇者』に載せた私の紹介文を載せておこう。
平成7年発行『覇者28号』 「新歓コンパのお返事から」より
<62年卒>戸田純一さん
世界にそびえる人々 第4回
伊藤条太(日本)
ラブオール直後から自分を絶望的な状況に追い込むことを常とするその姿は、さながら十字架を背負ってゴルゴダの丘へと向かうイエス=キリストである。また、思想家としての彼は、田村、菊地ら東北大学の誇る五流選手どもに強い影響を与えた。彼らは今、至福の中で静かにおのれの死を待っている。
これでいかに戸田が私を尊敬しているかわかることと思う。

たとえば尊敬をされない場合、次のように書かれることになる。
平成7年発行『覇者28号』 「後援会費を頂いた際のお言葉から」より
<62年卒>戸田純一さん
世界にそびえる人々 第5回
大林正行(町田市役所 道路交通課)
彼の味わってきた地獄に比べたら、本物の地獄もぬるま湯に感じるだろう。首のムチ打ち、表ソフト速攻としての挫折、公僕に対する市民の冷たい仕打ち。しかし、この試練を乗り越え、彼は今、シェーク両ハンド攻撃型として、浮ついた現代社会に生きる若者たちの目をさますために蘇った。そして、さらに厳しい地獄を味わっている。
ところで昨日のスルメの件だが、あの後すぐにマイクに電話がかかってきて「どこにあるかわからないからすぐに来てスルメを持っていってくれ」と言われたそうである。彼が昼休みから帰ってくると、やけに魚臭いので、誰か流しで腐った魚でも捨てたんだろうと思ったそうだ。ところが作業をすればするほどいよいよその臭いが強くなってきて異常に気がついた。それで「これはマイクの仕業だ」とすぐにわかったそうである。こういうことをいつもやり合っているのだろう。

キーボードにスルメ

上司のデビッドが1週間の日本出張から帰ってきて、スルメをお土産に買ってきてくれた。

ところで、ここではアメリカ人にウケるお菓子とウケないお菓子はだいたい決まっている。日本からの出張者がしょっちゅうお土産としてお菓子を持ってくるので、それで試されつくしているのだ。まず、チョコレートとかクッキー、飴などは日本のものはとても美味しいといって食べてくれる。アメリカで売っているチョコレートやケーキなど、あまりに甘くてとても食べれらないのだが、いつもそれを食べているアメリカ人にとっても日本のお菓子は美味しいようである。

その反面、ほとんどのアメリカ人が顔をしかめると決まっているものがある。それは海老せんやスルメに代表される魚介類の醗酵した臭い、海苔、そしてアンコである。海苔は、臭いも嫌いらしいし、海のコケやカビのようなものと考えそもそも食べるものではないと感じているようだ。アンコが嫌いなのは、こちらでは豆といえば塩味と決まっているので、小豆を甘く煮たアンコはとても気持ち悪くて食べられないのだ。日本人にあてはめて考えれば、きゅうりを砂糖で甘く煮たようなものだろうか。

食べ物の好き嫌いは一見、絶対的なもののように思えるが実はかなり相対的で、ちょっとした体験で変わるものだ。私もウニは生臭くて苦くて食えなかったのだが、学生時代に高級な寿司屋につれていかれて、なんとなく食べないと損な気持ちになって食べたら美味くて、それ以来好きになったのである。不思議なのは、嫌いだった頃と同じ味を味わって、そのときの記憶もあるのに、受け止め方だけが違うのだ。気の持ち方だけだと言ってもいい。

妻が学生のときのことだ。家の冷蔵庫からイチゴジャムを取り出してパンに塗って食べようとした。うまく塗れないので、ずいぶんと活きのいいツブ立ちのいいジャムだな、と思いながら食べたらなんとそれは筋子だったという。父親が、よりによって筋子をイチゴジャムの瓶に入れていたのだが、妻はメガネを掛けていなかったものだからよくわからなかったのだ。筋子を塗ったパンを食べてしまった妻は、それ以来、大好きだった筋子が2年ぐらい食べられなかったという。

今回デビッドは、自分は大嫌いなのだが、スルメを私とマイクに買ってきてくれた。最近知ったのだが、マイクはお母さんが日本人なので(全然そう見えないメキシコ人のような顔なのだ)スルメが大好きなのだ。マイクが私のところにきて「今から友達のところに行って、パソコンのキーボードの下にこっそりとスルメを隠して臭わせてやるんだ」といって紙に包んだ3本のスルメを見せてくれた。その同僚は、スルメの臭いを何か腐ったか、あるいは屁か糞だとでも思うのに違いない。「キーボードの下にスルメを隠す」というところがなんともおかしい。

便器の虫

今日は完全に「男の世界の話」である。

このブログを読んでくれている中国に赴任した先輩から「便器の虫の絵」が実際にオランダの空港で使われているという指摘があった。私も実際に日本で見たことがあるし、使われていること自体は知っている。問題は本当に効果があるかどうかである。ダウジングだって占いだって実際に金を払ってやってもらう人がいるからといって効果がある保証には少しもならない。

そこで、ネットでいろいろと調べてみると、70%も便所の汚れが減ったという報告が見つかった。その報告の信憑性はこれ以上調べようがなかったが、もしこれが本当だとすれば、どういう可能性があるかをもう一度考えて見た。すると、どうも私があることを誤解していることがわかってきた。

それは、人が便所を汚すメカニズムである。私は便所を汚すと言えば、便器を外して小便をするケースだけを考えていたのだが、よく考えるとそれだけではない。仮に小便が便器の中に命中していたとしても、細かく長い目で見れば、跳ね返り、つまり「しぶき」というものが無視できなくなってくるのである。当然、しぶきによる床の汚れを最小限にするための適正位置というものがあるわけで、それをコントロールするのが虫の絵だとすれば、効果があっても全然不思議ではない。いや、なければおかしい。我々はよく、便器の底においてある丸い芳香剤や、不届き物が捨てたガムやタバコの吸殻を執拗に無意味にもの心ついてからというもの何十年も狙ってきたではないか。より長い距離を落下して垂直な面に放滴されるこのケースこそが、おそらく霧レベルのしぶきをもっとも発生させる「最悪ケース」に違いないのだ。

こんな記事も見つかった。
http://www.j-cast.com/2007/06/14008415.html
ここにも「飛散を防ぐ」と書いてあるので、やはりしぶきを問題にしているようだ。ひょっとして分かっていなかったのは私だけなのかもしれない。ガックリ。

そういうわけで、「便器の虫の絵は効果なし」とする前言を撤回したいと思う。

ビートルズ7

まだあるのか、と思う人もいるだろうが、残念ながらあるのだ。

今回のは、これまで発表したものとはかなり趣が異なる。高2のある夜、友達が家に来ているときに急に思いついて、その日のうちに撮影した、これが最初のビートルズごっこなのだ。

だから人数も3人だし、服装も扮装も間に合わせで、何から何まで準備不足である。モデルとなる具体的な写真もなく、なんとなくビートルズ風にした、いわゆるイメージ写真なのだ。

その中で、どういう工夫をしているかが見所である。まず私はジョン・レノンの神性を表現しようとして敷布を体にまとっているのだがミイラのようになってしまっている。ジョン・レノンといえば丸メガネだが、そんなものはないので、鼻とヒゲのくっついたプラスチックのおもちゃのメガネから鼻を外して使った。

その鼻とヒゲを弟につけてリンゴをやらせたのだが、鼻が落ちそうなので物凄い形相になっている。「絶対に落とすな」と厳命したため、このような表情になっていたのだが、これは計算外であった。「お兄ちゃん、もうダメだ」「うるせー、いいから落とすな!」とやりとりしたことを覚えている。頭には婆さんのカツラをつけている。

ポール役の友人には、まずセロテープを目じりに貼って「痛い痛い」と言われながら思いっきり下のほうに引っぱり、ポールのタレ目を表現した。あごひげは、学生帽の頭をくりぬいて即席で作りセロテープでアゴに貼った。こいつの顔がなんとも脂ぎっていて、セロテープがすぐに剥がれるのだ。それで、べらぼうに長く後の方まで貼ってやった。

誰に撮影してもらったかは覚えていないがおそらく家人だろう。これだけで、とても良いことを思いついたと興奮したことを覚えている。それで、次は時間をかけて準備をしてサージェントペパーズの扮装になるわけである。

嫌々つき合わされている二人とは対照的に、ジョン・レノンのキリリと引き締まった知的な顔(写真右)を真似して完全に本気になっている私が本当に恥ずかしい。

オークションでの攻防

卓球の古本をネットのオークションで買っているが、私以外に入札する人がいないことは以前書いた。実は最近は事情がかわり、強力なライバルが現れたのだ。

昨年10月頃、いつものようにヤフオクで「卓球」をキーワードにして古本を検索したところ、ある人が一気に数冊の卓球本、それも昭和初期のものを出していた。私がもっていない古本など、年に2,3冊しか見つからないのに、一気に数冊なのだから興奮して入札した。ところが翌日になると全部同じ奴に高値更新されているではないか。こんなことはほとんどなかったので心底驚いた。それで5000円ぐらいに上げるとまたすぐに更新された。これは、ただ事ではない!こんな奴と張り合っていたら、何万円かかるかわからない。1000円そこそこで超貴重な本を買えていた平和な時代が終わったことに愕然とした。

そのときに出品されていた数冊の中に、途方もなく貴重な本が含まれていた。第1回全日本チャンピオンの鈴木貞雄が出した『卓球術』(大正13年発行)である。これまで参考文献としては挙げられていたが一度も見たことがなく(参考文献にならないじゃないかよ)、本当に夢にまで見た本だ。もちろん、相手はこの本にも入札している。そこで私は他の本を捨ててもいいからこれだけは絶対に落札しようと、ある作戦を考えた。5000円ぐらいまでは高値更新をして、早々にあきらめる姿勢を見せて「この程度の奴」と思わせて油断させる作戦である。私が死んだふりをしていると、他の本が次々とそこそこの値段(6000円ぐらい)でその相手に落札されていった。それとてのどから手が出るほどほしい本なのだが仕方がない。そして『卓球術』の終了時間ぎりぎりの深夜5分前に、いっきに数万円を入れてやった。相手はすっかり油断していたらしく、それほど高い値を入れておらず、結局、1万円程度で落札したのであった。相手は泣いて悔しがったことだろう。私も二度とこういう戦いはしたくないものである。もしこのブログを見ていたら「現代卓球」サイトからメールください。裏取引しましょう。

ここに謹んでその『卓球術』を披露する。一本指し、二本掛けなど、世にも恐ろしいグリップが紹介されている。なお、この本を入手したことで、『卓球術』が『How to Play Ping Pong』と同一のものであることが分かり、卓球史を塗り替えることができたのも収穫である(まったく何にも影響しない史実だが)。

写真右の『ピンポンの秘訣』は戦術のため犠牲にした稀少本である。買わないことを決めた時点で、これが見納めとばかり出品されていた写真を保存しておいたのだ。

今野さんから頼まれるまではブログを書くなど想像もできなかったが、こうして書いてみると、まるでブログに書くためにネタを集める生活をしてきたかのようである。不思議だ。

スキー場での大記録

降雪地帯で育った男子なら誰でも、厚く降り積もった雪に立小便をして雪を溶かしたり模様を描いたりする楽しみを理解してもらえると思う。

「ある職場で、トイレの小便器の中心に小さな虫の絵を描いたところ、便器を汚す人が激減した」という話を聞いたことがあるが、なるほど、と思わせる作り話だと思う。確かに便器に何か付着物があるとそれを狙いたくなるのは事実だが、そもそも便器を外す人は外していいと思ってやるわけではない。外れたら自分だって汚れるし、誰だって外すまいと便器の真ん中を狙っているが、それでもなおかつ諸事情によってあらぬ方向に飛散するのだ(毛とか皮膚の粘着とかな)。男子ならわかってもらえると思う。あるいは酔っ払ってどうにもならないときかである。どっちにしても、便器に虫の絵を描いたところでこれらを防げる道理がない。

大学時代、平日に山形蔵王というスキー場に行ったときのことだ。ほとんどのコースを滑ったので、珍しいところを滑ろうと人気のないコースに行ってみた。なぜ人気がないかといえば、そこのリフトが古く、一人乗りでしかも遅く、なおかつ異常に長いからなのだ。それでなくても人がいないのに、平日だったため、ほとんど無人状態であった。乗って中腹まで来て前後を見渡してみると、前にも後にも下にも、見渡す限り誰もいない。冬の雪山でたったひとりである。ふと気づくと尿意がする。

「今こそ記録に挑戦するときだ」と私は思った。私は、苦しくなくて努力も要らず、ただやればよい類のことは積極的に挑戦するのだ。それで、動き続けるリフトに乗ったまま2,30m下の地表に向かって小便をするという記録に挑むことにした。やってみるとこれが大変である。当時のスキーウエアはワンピースでこそなかったが、ズボンは胸まであるのだ。まず上着をはだけ、ズボンのチャックを胸から下ろさなくてはならない。椅子を濡らすわけにはいかないので、椅子から尻を半分前にズラさなくてはならない。危険だ。もちろんズボンやスキー板を濡らすつもりもないし、右手の手袋を外すタイミングだって考えておかなくてはならない(これは必須である)。これを一人乗りのリフトに乗ってストックを2本持ったまま人影を気にしながら制限時間内にやるのだから、半ば命がけのようなものである。事故を起こしたときの恥ずかしさもプレッシャーとなる。やっとの思いで最終段階に来たのだが、なぜか出るはずのものが出ない。「ここまできて止められるか」としばらく待って、無事に大記録を達成したのであった。見事な放物線が新雪の上に舞った。

もしかしてスキー部の人とか小さい頃からスキーをやっていた人たちはしょっちゅうやっているのかもしれないが(やるかよ)、素人の私としてはこれが大満足の記録である。

冊子『現代卓球』

大学の後輩の戸田から「田村が2番弟子だとすると1番弟子は誰なのか」とメールが来た。まったく人をバカにした話だ。「お前に決まってるだろ!とぼけるな!」と返事をしてやった。田村といい戸田といい、弟子としての自覚に欠けるのは嘆かわしいばかりだ。毎日どうでもよいことを報告してくる3番弟子の小室を見習ってほしいものだ。

学生時代に戸田といっしょに作った『現代卓球』という小冊子がある。だいたい半々づつ書いたのだが、悔しいが戸田が書いたところの方が面白い。卓球の腕も私より1ランク上なので一番弟子である。ただ『現代卓球』は、あちこちに危険表現がちりばめられているので、後年、ウエブ化するときにかなり修正した(プロフィールのリンク参照)。

戸田は最近、ニッタクを辞めて(追い出されたか?)キラースピンというアメリカの卓球用品会社に入って、音沙汰がないと思っていたら、こんなところhttp://jpnuttl.org/public/sub15.htmlでこっそりと頼まれもしないのに戦評を書いていた。やはり異常に面白い。それにしても「松平健太がいつまでもしゃがみこみサービスができるように牛乳を飲まないようにすべきだ」というくだりは荻村伊智朗『卓球クリニック』のパロディだが、それに気づく人などほとんどいまい。つくづくマニアックな笑いだ。

「頼まれもしない」といえば、どの大学でもあると思うが、私の母校東北大の卓球部にも『覇者』という会報がある。年1回、現役選手たちが作って発行することになっていて、現役部員の紹介や戦績報告、OB同士の近況報告などが載っている。OBには年に何回か、試合の誘いとか飲み会の誘いが往復ハガキで送られてきて、その近況欄に何かを書くとそれがすべて翌年の『覇者』に載るという仕組みになっている。そこに私と戸田は近況でも何でもない文章をびっしりと書き込んで掲載させるという、パフォーマンス競争を何年か続けた。戸田は「世界にそびえる人々」、私は「OB紹介コーナー」を連載(もちろん勝手に)して筆力を現役に見せつけたのだが、現役、OB双方から完璧に無視され、ついぞ憧れの「OB寄稿」への正式な原稿依頼が来ることはなかった。

この件は当時の現役部員である編集デスクの久保に責任をとってもらいたい。

困った奴ら

先々週のことだ。リックという同僚が「俺は卓球でアラバマ州チャンピオンになったことがある」と言ったから大変である。その話の信憑性を確かめるべくいろいろ質問をすると、ラバーの種類や台との距離、ドライブかスマッシュかなどの質問にもついてくるので、もしかすると本当かもしれない。

それで、土曜にチャック、ウォレンと練習をしたときにその話をした。すると、アラバマ州選手権の歴史にそんな奴の名前はないし、その程度のプレースタイルの話などスポーツチャンネルを見れば誰でも言えるとのこと。「親戚だけの大会だろ」とか「友達だけの大会だろ」などという。あるか、そんなの。この件は、いずれ本人を練習に呼んで確かめるときが来るだろう。

さて、この日の練習だが、あきれたことにチャックは私が最近練習に行かないことを指して「センセイを失ったので俺は引退する」と言う。”I lost my Sensei”とセンセイだけ日本語で言うのだ。でかい図体をしてなんとも子供じみた奴である。ウォレンが「またはじまった」と言わんばかりにしきりにウインクしてくる。なんだかめんどくさいなあ。

練習の後、帰るときにチャックが体育館の前で車のトランクからゴルフクラブを取り出し「ゴルフを教えてやる」と言うと、いきなりボールをティーにセットして隣の敷地に思いっきり打ち込みやがった。

ウォレンは「クレイジー!」といって笑っている。アメリカではこんなことをやっていいのだろうか。まるで子供のような奴らだ(それにしてもなんて腕の太さだ)。

その日、ウォレンから少年時代の写真が送られてきた。アラバマチャンピオンと撮影したらしい。右端がウォレンだそうだが、現在のウォレン(8/28を参照)とは種が違うようである。

ストロング・ラーメン

アメリカの生活でもっとも恋しくなる食べ物はラーメンだろう。日本ではしょっちゅうラーメンを食べていたのに、ここにはラーメン屋などないのだ。

ところが日本料理店のKYOTOのメニューになんとramyanと称するラーメンがあるのだ。これは実は韓国製のインスタントラーメンなのだが、ないよりはマシなのでときどき食べる。かつてある日本人赴任者が、「こんなのラーメンじゃない」と文句をつけて以来、しばらくは日本人がこれを注文すると必ず「今日は切らしている」と断られるのが続いたのだが、最近はほとぼりが冷めたようで、普通に出してくれる。

ただし問題がある。スープが薄いのだ。それもそのはず、器が「鍋焼きうどん」用の大きな鉄鍋なので、湯の量が、どうみてもインスタントラーメンの基準である180ccをはるかに超えているからなのだ。そのくせやけに辛いので(だから韓国製だと思ってるのだが)、辛味を別に入れていると思った人が「マイルドにしてくれ」と注文をしたら、それでなくても薄いスープに思いっきりお湯を入れられ、目も当てられない、ほとんどお湯のように薄いスープのラーメンが出てきたことがある。

そういう失敗談があるので、恐る恐る「スープを濃くしてくれ」と注文を出したのだが、それをどうしても伝えれらない。「塩をいれればいいのか」などと言う。そんなことされてたまるか。「高い濃度」という意味でhigh concentration などといっても首を傾げるばかりだ。そこで濃いコーヒーのことをストロングコーヒーと言うことを思い出し、strong soupと言ったらすぐに通じた。意味は伝わったものの、今度は「スープの袋だけ2倍使うわけにはいかない(やっぱりインスタントだった)、あまったラーメンをどうするのだ」ときた。「入れる湯を半分にしてくれ」と言ってやっとわかってもらえた。すると、ひとまわり小さい器に適量の湯が入れられた美味しいラーメン(インスタント)がやってきて大満足であった。

以来、Strong Ramyanと注文すれば、すぐに濃いスープ(普通なんだが)のラーメンが食べられるようになった。ストロング・ラーメンなんて、知らない人が聞いたら、スタミナラーメンのもの凄いやつでどんなに精力がつくのか、と思うかもしれないが、ただのインスタントラーメンである。

このブログに載せるために、「日本風を装ってるが何かが違う店内」を撮影していたら、店員がやって来て「撮ってやる」と言われたので、迫力に押されおとなしく記念撮影をされてしまった。

回転寿司

これまでいろいろとレストランの話を書いたが、実はドーサンで日本人がもっとも多く行くレストランは中華料理店である。美味しいということと、ほとんどの店がバイキングスタイル(こちらではバフェという)なので、注文する必要がなく楽なのである。このような店がドーサン市内だけで4軒あるし、デルビルにも1軒あり、我が家では、土日のどちらかは必ず行っている。

このバイキングスタイルを妻は「食い放題」と解釈して、限界まで食べることを毎週楽しみにしている。いつも6皿も食べて、店を出るときは体をまっすぐにして歩けないほどである。この日のために平日はほとんど食べないようにしているので太る心配はないという(ただしビールは毎晩1.5リットル飲んでいる)。

余談だが、二番弟子の田村が学生時代、「条太さん!300円で食い放題の店があります」と言うからついて行ったらミルキーウエイのサラダバーだった。さすが2番弟子。

妻のもっとも好きな食べ物は寿司である。パソコンの背景は寿司だし、三男の名前は、『寿司』から一字とったぐらいだ。食べ物の名前を息子につけた人は妻ぐらいのものだろう。そのためか三男は妻と同じく異常な寿司好きである。

妻が寿司の中でももっとも好きなのが回転寿司である。「回っていないと食う気がしない」とまでいっている。その回転寿司がドーサンにはないのだが、どうしても食べたい妻は昨日、ついにアトランタに回転寿司屋があることをネットでつきとめた。『FUNE』というのだが多分『舟』だろう。『東京』とか『京都』ではないところはさすがである。車で片道4時間かかるのだが、近々行くことになりそうである。