本革

新幹線のカタログ紹介は「面白い」という人がいたかと思えば「あれが一番つまらないので止めて欲しい」と言う人もいて、いちいち聞いていられないのでとりあえず書くことにする。

革製品のページで「牛革」とか「羊革」とか「馬革」とかが載っていたのだが、その中に「本革」というのがあったのが目を引いた。他のものは動物の種類を書いてあるのにこれだけが本物の革だというのだから不思議ではないか(ここまで田村に話すと「人間の皮ってことか」と不安気な顔で言ったことを付け加えておく。なんで新幹線の通販がナチスの真似事をせにゃならんのだ。さすが変わり者の名をほしいままにしているだけある)。

それで製品説明をよく見ると、そこには「豚革」と書いていたのであった。どうしても「豚」とは書きたくなかったものと見える。たしかに、豚とえいば「豚箱」とか「豚野郎」とかあまり良い印象はないのだから仕方がない。死んで革になってまで差別されるとは豚の人権はどうなっているのだろうか。ねえかそんなもん。全日本が始まったというのに、よりによって豚野郎の話というのもなんだが。

『卓球ラウンジNOA』視察

昨年、仙台市内に新たに卓球場ができたのを聞いていたので、大雪の中視察に行ってきた。視察といえば聞こえはいいが、要するにひやかしである。しかし、今日の予定を聞いてみると5時から6時までの1時間だけ空いていてあとは教室やらフリーやらで埋まっているという。素晴らしいことだ。

台は4台もあり、二人の生徒さんが指導をされているところだった。卓球場が繁盛をしているのを見るだけで私は楽しいのだ。

体罰について

どこかの高校バスケ部顧問の体罰が問題になっている。卓球界でも体罰をする学校があるという話はチラホラ聞くし、親が子供を叩くなどというのは当たり前のようによくある。

テレビでは「教育基本法で体罰が禁止されている」と言うが、それは時速40キロの制限速度のようなもので、そもそも守っている人の方が少ないルールである。問題は体罰の有無ではなくてその程度にあることは明らかだ。平手で30発も叩くのはやりすぎだし、拳で殴るなどは1回でもダメだろう。しかしその許容程度を客観的に決められないから安全策として「体罰はダメ」となっているにすぎない。

体罰が教育に効果があるかどうかはわからない。そもそも何を持って教育されたと判断するのかもわからない。仮に教育の効果がないとしても、私はある程度の体罰なら容認する。現場では暴力で生徒の行動を制限する必要がある場合もあると思うし、先生も人間なのだから腹が立って手を出したくなるような生徒もいるだろうからだ。

なお、荻村伊智朗は体罰は絶対にしなかったそうだ。体罰はしなかったが、言葉の暴力が凄まじく「これなら叩かれた方がマシだ」と思うほどの全人格否定を延々とされるのだという。その荻村が『卓球クリニック』(1990年ヤマト卓球刊)という本で、指導者の体罰が嫌だという読者の質問に対して「ネチネチといじめまわされるよりは、スカッとなぐられたほうがいいというふうに考える場合もあるでしょう。また、暗い顔をしてブツブツと口の中で生徒の悪口ばかり言っている雰囲気よりも、スカッとなぐってあとはニコニコというほうが思い切ってやれるかもしれません。」(P196)と答えているのだから可笑しい。

自分自身のことはどう評価していたのか聞いてみたかった。

無残なり編集長

先の補助剤を取り上げたテレビ番組だが、実は卓球王国の今野編集長のところにも取材が来ていたのだという。「テーマがテーマなので、ボツになるかもしれない」とは言われていたそうなのだが、蓋を開けてみればボツになったのは補助剤ではなくて、今野さんだったわけだ。

テレビ局が来るというのでせっかく居室を片づけ(たかが知れているとは思うが)、カメラの前で30分も話したのに放送は1秒もなし。もちろん局からは何の連絡もない。

この悔しさをはらすためには、逆にテレビ局に取材に行ってさんざんインタビューしたあげくにボツにしてやるしかないと思うがどうだろうか。もちろんそういう仕事はユウにやってもらおう。がんばれユウ。

偉いぞフジテレビ!

12月30日に放送されたフジテレビの『とくダネ!発 ディレクター魂~2012最後のスクープ~』が素晴らしかった。水谷の補助剤問題の告発が取り上げられているのだ。

冒頭、水谷により補助剤問題が語られると、補助剤の有り無しラケットに鉄球を落とす実験映像となり、跳ね返る高さに20%の差があったと解説された。ピンポン球ではなくて鉄球で実験を行ったのは、ピンポン球では差が出なかったからだろうな。また、到達する高さに20%の差があったことをもって「跳ね返る力が20%違う」と解説したのは間違いだ。言うまでもなく到達高さと初速は比例しないからだ。

カメラは中国に飛び、杭州でのITTFワールドツアーグランドファイナルの取材となる。これが素晴らしかった。愛ちゃん、石川に水谷の不正告発について質問を浴びせるのだ。30時間も張り込んでインタビューしたと言っていたが、普通のプレスのインタビュー用の壁紙の前だったので、単に二人の試合がなかったか、30時間観光でもしていただけだろう。それは良いとして、当然のことながら二人とも当惑し「それについては何も言えません」と言葉を濁した。取材陣はその後、なんと馬琳に「ブースターが使われていることは知っていますか?」と聞いたのだ。間髪入れず「知りません!」と答えてプイッと去る馬琳。自分に言い聞かせるようにうなずきながら答えたのが可笑しかった。「知りません」という否定文をうなずきなら話すとはなんと皮肉なことだろうか。

その後、丁寧に同じ質問をすると、それまで笑顔だった表情があからさまに曇って固まった後「わかりません」と答えるのだ。その表情の変化の瞬間をスローで繰り返し再生するエグさはさすが民放だ。「中国人記者たちもなぜか冷ややかな視線に」と笑顔が消える様子をこれも繰り返し再生していたが、笑顔の方は明らかに別の撮影の挿入だった。こういうインチキはあったものの、補助剤そのもののインチキに焦点を当てるためであれば何でもよい。

その後映像はスタジオに切り替わり、補助剤を塗ったラケットと塗っていないラケットを持ってきてゲストがラバーを触り「全然違いがわかりません」と言っていた。・・・分かるわけがないし、「そんなにベタベタと指でラバーを触らないで」と自分が使うわけでもないのに思ってしまったのは卓球マニアの性である。さらに、シャララの「不正をしている選手がいるのは分かっている」という例のコメントもデカデカとボードで紹介されていた。

ともかく意義深い番組であった。IOCの人にぜひとも見てもらいたい。この調子で大問題にして、パリ大会ではラバーを剥がして検査せざるを得ないようにしてもらいたい。偉い、偉いぞフジテレビ!もっともっとやれー。

2日に実家に帰ったら「卓球ではインチキやってるやつがいるようだな」と卓球に興味のない父から言われた。テレビの力は大きい。ちなみにそこで私は「検査できないんだから日本人も塗ればいいんだ」と言うと「そんなことはない、ルール違反はダメだ」とモメたことを付け加えておく。補助剤問題は帰省した中年親子にさえ軋轢を生み出しているのだ。

あっぱれ『ナイター卓球』

以前卓球王国の連載で、夜に何日もかけて大会を行う『真夜中の卓球便(ミッドナイト・エキスプレス)』の話を冗談で書いたら、なんと今月のニッタクニュースの目次のページに紹介されていた『弘前市民ナイター卓球大会』は、毎週木曜の6時30分から8時30分まで半年もかけて大会を行うそうで、まさに私が冗談で書いたことを本当にやっているのであった。しかも昭和40年代からもう40年以上も続いているのだという。恐れ入りました。

恐るべし、弘前卓球協会。

もう一人の卓球指導者

先日の飲み会で青山さんが連れてきたのが、宮城県中体連卓球専門部委員長を務める今野啓さんという人だ。
今野さんは昨年の屋外卓球イベントを開催したときに会場に来てくれてご挨拶をいただいた方で、知っている間柄であった。実は私はその10年ほど前に彼をホームページで知っていたのだった。私が中学校の外部コーチを始めた頃、情報収集のためにネット検索をしていて偶然、やけに熱心な生徒との熱い指導のやりとりを綴っていたホームページを見つけた。生徒たちのモチベーションの上げ方や、戦略的な戦型構成、最後の大会での生徒たちと感動的な心の交流について熱く熱く熱く語っており、内心「うわ、臭いなあ」と思いながらも印象深く、今野という名前を覚えていたのだった。もちろんそれが県中体連委員長と同一人物である保証はなかったが、考えてみると仙台市内に今野という姓の卓球狂いの中学教師が二人もいる可能性は低かったもと言える。果たしてその当人であることが昨年のイベントでわかったのであった。

飲み会ではそのとき以来であったが、なにしろ過度な卓球狂いなのでいかんともしがたい楽しさであった。今野さんは今は指導よりも大会運営など裏方に興味が行き、ほぼ毎週県内をとびまわっては講習会やら大会やらを見ているというのだからいよいよオカしく、私と同様「それのどこが楽しいのか」と他人には理解されない孤独な領域をつき進んでいると言えるだろう。

指導をしていた頃の話になると語り口は瞬時にヒートアップした。過度な部活に疑問を呈する父兄との軋轢についての話では「小学校から卓球している相手に勝つためには土日は朝から晩まで練習しなかったらどうやって練習時間確保するんですか。単純な数学ですよ。計算したらわかるでしょ?」などとむちゃくちゃなこれぞ卓球指導者という理屈で対抗していたという。素晴らしい。また、中学の団体戦ではカットが有利と判断して生徒に視聴覚室で松下浩二のビデオばかり見せて洗脳しカットに導く様は、まさに「指導者は自分のために指導をする」という私のセオリーを体現していた。これでなくては初心者から教えた選手だけのチームで県ベスト4など入れはしない。

この人も青山さんと同様、義務教育の目的などとうに忘れ去っているのだ。指導者はこうでなくてはならない、と膝を打った飲み会であった。

異常なメニュー

今朝、久しぶりに異常な夢を見た。ある軽食屋に入るとそのメニューになんと「伊藤条太」というメニューがあるではないか。そのとき私が思ったのは「商標登録はどうなっているのだ?」ということだが、なぜか直後に「ああ、伊藤条太は一般名詞だから誰でも使ってよいのだから仕方がないのか」と思ったのであった。中途半端に理性が残っているところが我ながら可笑しい。

それで、恐る恐るそのメニューの写真を見ると、なんとメロンを半分に切ったような形と大きさのとてつもなくバカでかいカツレツであり「これは食えない」とがっかりしたのだった。

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