谷村新司をしばらくやった後は桑田佳佑、和田アキ子、美川憲一と立て続けに出てきたのだが、似てるも似てないも、そもそもこの人、メーク以外はほとんど同じように尻を振ったり観客を指差して拍手を要求したりで、本人がどこまで意識しているかわからないが、物マネとは別の可笑しさが漂っていた。
美川憲一にいたっては、鼻から伸びる風船みたいなのを出したりして、マネをしていること自体がわからなかった。
昨夜は会社の『秋祭り』と称するイベントがあり、体育館で飲み食いをした。
ゲストの芸人が何人か来たのだが、その中で「ダンシング谷村」という物マネ芸人が面白かった。
何が面白いって、本人が最初に断っている通り、とにかくあんまり似ていないのだ。
谷村新司はメーキャップにも力が入っていて似ているのだが、その顔で谷村新司の曲を歌う以外には特に面白いギャグを言うわけでもないが、このようなイベント、つまりファンでもない人たちの前に呼ばれて場を盛り上げるというとてつもない難題を前に、諦めと開きなおりが混じった「どうでもいい」という感じが、そこはかとない悲哀と共感を呼び、結局はとても面白かったのだ。
年間170回以上の公演をこなすというから、これがこの人の芸なのだろう。
それにしても自分で選んだ道とはいえ、芸人とはなんと難しい仕事なのだろうか。
自転車が趣味の田村は先日、南三陸町から仙台まで90kmの道のりを自転車で帰る途中、自転車で日本列島縦断をしているらしい青年を見つけたという。何故それがわかったかといえば、ホワイトボードにそのように大書きして走っていたからだ。
自転車の世界ではこういう青年に親切にするのが慣わしらしく、田村は声をかけて一緒に仙台まで走り、家で昼食を食べさせたという。
後日、青年のブログに田村のことがアップされたが、そこには田村が「おじさん」として登場するのであった。自分たちが世間的には非の打ち所のない「おじさん」であることをあらためて思い知らされた。自分たちより上の人のことは当然のように「あのオヤジ」と言うが、自分たちも仲間であるとは思っていなかったのだ。普段、そう言われる機会がないから余計であるが、まあ考えてみれば当然だわな。
そういえば、大学1年でプールの監視員をやったとき、小学生から「おじちゃん」と言われ愕然としたものだったが、あのガキどもとっくに40過ぎてるな。まいったか。