北杜夫の『どくとるマンボウ航海記』を読んだ。さすがに感覚がちょっと古いとは思うが、そでも十分に面白く、何度か声を出して笑った。
北杜夫は感心なことに卓球でインターハイに出たことがあるという。しかも大学は私と同窓だ。これで親近感がわかないはずがない。
本の中で壊血病についてのくだりがあった。興味深く思ってネットで調べてみるといろいろなことがわかった。http://ja.wikipedia.org/wiki/壊血病 壊血病とはビタミンCの欠乏によって引き起こされる病気だが、ビタミンCというものが発見される前は、多くの船乗りがこれで命を落とした。バスコ・ダ・ガマの航海のときには実に180人中100人が壊血病で死に、海賊よりも恐れられたという。
そのうち、塩漬け醗酵キャベツ(ザウアークラウト)やライムで壊血病の予防をするようになるが、その名残でアメリカ人はイギリス人のことをライム野郎(limey)、ドイツ人のことをキャベツ野郎(kraut)と言うのだそうだ。
ちょうど映画『燃えよ!ピンポン』のDVDが届いたのだが、見ているとアメリカ人がドイツ代表の選手に対して「このキャベツ野郎!」と言っているシーンに出食わして嬉しくなった(周りのアメリカ人に聞くと、やはりlimeyもkrautも知っていたが、なぜそういうかは誰も知らなかった)。
今では誰でも知っているビタミンCだが、それにはこのような発見の歴史があったのだ。先人が多くの命と引き換えに手に入れた英知によって我々はこんなにも楽しく暮していける。しかもインターネットによって図書館や本屋に行く必要もなく一瞬でこんなに面白いことを知ることができる。
天国とはここのことだ。それにしてもザウアークラウトを食べてみたくてしょうがなくなった。