屋台をはしご

やっと夕方仙台に着いた。ホテルで1時間休んだ後、マークと夕食をとりに町に出た。

何がよいか思案した結果、学生時代にときどき行っていた屋台に行くことにした。目当ての場所に行くとそこには別の屋号の屋台があったので入ってみると別人であった。しかたがないのでそこに入っておでんを食べながら「ここいらにあった『文化屋』っていう屋台はどうしました?」と聞いてみた。すると、だいぶ前にやめてしかも亡くなったという。私が通っていた20年前からすでに老人だったのだから、残念だが仕方がない。

この屋台のおばあさんもずいぶんと年季が入っていて、ここに来たのは16年前だが、通りの向こうで1956年からやっていて、今83歳だと言う。51歳のマークが「自分が生まれる前からやってるのか」と驚いていた。

そこにはおでんしかなかったので、間もなくそこを出て別の屋台に入った。そこは焼き物がたくさんあったので、焼き鳥と焼きそば、ソーセージ焼きを頼んだ。するとマークの食べ方が明らかにこれまでとは違ってハイペースで、とても美味いと言った。今度こそ本当に美味かったようだ。

しかも店の雰囲気がよく、次から次へと入ってくる客が常連らしくみんな知り合いらしい。中には料理をしたり酒を出したり、どうみても店員としか思えない振る舞いをする女性もいるのだが、単なる客なのだという。

マークはこういう屋台の雰囲気にすっかり魅せられ、明日も来たい、次回の出張では自分がアメリカ人をここに案内するんだと言った。こういうのはやっぱりアメリカ人も楽しいようである。

仙台の場合、市の条例だかで、今後あらたに屋台を始めることは禁じられている。今やっている人が止めたらなくなるのだ。「時間は限られているので急いだ方がいい」とマークに言っておいた。