デリルと卓球

デリルという同僚がいて、昔、会社の卓球大会で優勝したことがあるという。それで、私が卓球をしていると知って、勝負しようということになった。

勝負といっても、相手は素人の親玉のような実力だろうから、いかにお互いに楽しくやるかが課題だ。

さっそく昼休みに彼の知っている教会に行ってやってみたが、こちらが仕掛けない限りはミスはほとんどなく、ホビープレーヤーとしては申し分ない実力だった。

試合では、打ちごろのボールを与えてスマッシュをさせてやったが、これが体が大きいためか威力があって、何球も打ち抜かれてしまった。しかし何球かは前陣でブロックをしてやって驚かせることができて、私としては大満足だ。

とはいえ、なめられると取り返しのつかないことになるので、競りはしたが1ゲームも与えなかった。最後のゲームは先にゲームポイントを取られたが、横回転サーブを出してジュースにして、あとは普通にやった。

私がまったく攻撃をしなかったので、デリルは私を守備型だと思ったらしく「ディフェンスが上手い」と褒められた。横回転サーブについては「あんなサーブは初めて見た」と言った。でも家に帰ってからは、私を打ち抜いたスマッシュのことばかり思い出して気持ちよくなっていたにちがいない。そういうものだ。

その後、会社で会うと「また勝負しよう」と言ってくる。もう少しで勝てると思っているようなのだ。どうしたものだろうか。