月別アーカイブ: 3月 2009

指輪の話

先日、『刑事コロンボ』の「指輪の爪あと」を見ていて、そういえば私の婚約指輪はどこにいったのだろうかと思った。どこかにしまっていたはずなのだが、妻に聞くと「知らない」という。指輪などどうでもいいが、せっかく何万円か出して買ったものをなくしたのはなんとも悔しい(といっても2万円くらいのものだが)。

指輪をしなかったのは力を入れて物を持つときに当たると痛いこともあるが、東北の百姓の息子である私が結婚するからといって急に人が変わったように、こともあろうに指輪なんぞというそれまでの美意識になじまないものをつけるというのが嫌だったからだ。だいたい、指輪など単なる指輪屋の策略に過ぎないのであって「結婚指輪は給料の何倍」などという物言いも不愉快きわまりない。こういう何の根拠もない習慣にはぜひとも逆らいたい。

結局買ってしまったのだから策略には乗ってしまったわけだが、つくづく買わなければよかった。

そのあたりのことがわからない人たちからは新婚の頃「独身のふりをしようとして指輪しないんだろ」などと言われ、その救いがたい低俗さに腹を立てたものだ。

妻に聞いてみると私は当時「指輪をしないのは、卓球のボールを持ったときに当たってカチッと音がするのが嫌だから」と言っていたそうだ。ぜんぜん覚えていないが、自分のことながらナルホドと思った。

そういえば、卓球選手は指輪をしている率は少ないのではないだろうか。いつかこれで原稿を一本書いてやろう。

松下浩二インタビュー

卓球王国5月号の松下浩二のインタビューは面白かった。特に荻村伊智朗についてのコメントが興味深かった。「僕は荻村さんに褒められたことが一度もないことを忘れていません」という。今でも荻村が映っている映像を見るだけで緊張するという。

確かに荻村の著書『私のスタインディグオベーション』(ニッタクニュース刊)では松下について「練習をよくやるという話を聞かない」「アクロバティックな動きがない」と厳しく表現されている。

インタビューで松下は「荻村伊智朗を越えることが目標」と語った。そんなことを公言した者はこれまで誰もいない。一流どうしのなんとも空恐ろしい世界だ。

しかし荻村伊智朗はなんたって世界選手権金メダル12個、世界チャンピオン10名あまりを育成(誰のことかわからんが)、卓球関係の著書十数冊、あげくに国際卓球連盟会長だからなあ。あまりにも巨大だ。

社交辞令

日本人は社交辞令が多く、アメリカ人は社交辞令を言わないので、日本に来たアメリカ人が困ることが多いなどという話を前々から聞いていたが、現実はその正反対だった。

アメリカ人は明らかに日本人よりも社交辞令を言う。初対面でも「今度遊びに来て」とか「バーベキューでもしましょう」と平気で言うが、ほとんどはただの挨拶で、本当に誘っているわけではないので、本気にするとがっかりすることになる。

妻も、知人に「今度電話するから電話番号教えて」と言われるのはいいのだが、その人に聞かれたのは3回めだという。電話番号を聞いたことすら覚えてないのだ。つまりぜんぜん電話する気などないのだ。あまりのことなので、その知人の携帯を取り上げて自分の番号を登録してやったという。

私も会社の同僚のアメリカ人から「今度釣りにでも行こう」と言われたので、喜んで日取りを決めようとしたら急にしどろもどろになられて気まずくなったことがある。

もちろん中には本当に誘っている場合もあるが、その見極めがよくわからない。まあ、私は日本人どうしでもその加減がよくわからないのだが。とにかく、「アメリカ人は社交辞令を言わない」なんてのはとんでもないウソだ。

日本でもときどき「近くへ来たら家に寄ってください」などという社交辞令を言う人がいるが、私はそういうことは一度も言ったことがない。万が一、来て欲しくない人に本当に来られたら思うと恐ろしくてとても言えない。それともああいうことを言う人はとても人間が好きな人で、誰に来てもらっても困りはしないのだろうか。

grow a set

1月に帰任した田口くんの送別会のとき、カイルというアメリカ人が彼について楽しいプレゼンをした。ジョークが満載でアメリカ人たちは大笑いをして盛り上がったのだが、例によって私には4分の1も意味が分からない。

中でも印象に残っているのが、grow a setという単語をスクリーンに映し出したときにみんなが大笑いしたことだ。setを育てる(grow)という意味がさっぱりわからないし、なぜそれにみんなが大笑いしているのかもわからない。それで、翌日、カイルにそこだけ聞いてみた。すると、setとは男性の金玉のことだという。2個づつついているので、setと言うのだ。もちろん辞書には載っていない。それで、grow a setは、直訳すれば「金玉を育てろ」となり、「男らしく度胸をだせ、しっかりしろ」というような意味らしい。図らずも日本語でも「金玉ついてんだろ!」ということがあるので、似た用法なわけだ。

そういえば、grow a setという単語が使われた場面は、奥さんが怖くて強く物を言えない、というような場面だったので、それでみんなが笑ったのだ。

個々の単語が分かっても、こんな俗語を使われたのではひとたまりもない。まあ、仕事で”grow a set”などと言う機会も言われる機会もないので支障はないわけだが、こういうのが全部わかったらさぞかし見通しが良くなろうだろうなと思った。

労働者階級(Working Class)

映画通にだけ分かるBBCのコメディを見つけた。

ヒッチコックの恐怖映画『鳥』のパロディだ。よりによって”Working Class”とはさすがイギリス人、底意地の悪いジョークで、見事だ。

ニッタクニュース

他誌のことを書くのもどうかと思うが、卓球王国は太っ腹なのでまあいいだろう。

ニッタクニュース4月号が届いたが、水谷選手のインタビュー記事が面白かった。インタビューそのものではなくて、記者の言葉づかいが挑戦的でおかしかったのだ。

最初の方こそ

-5年間を振り返ると、いかがですか。

などと丁寧だが、

-当初はどういう練習を。

-最初の頃の成績は。

というあたりから、語尾がぶきらぼうで雲行きが怪しくなってくる。ドイツ留学時代に話がおよぶと、

-所属は。

-監督は。

-練習内容は。

-会話は。

と矢継ぎ早に詰問口調の質問が続く。傑作なのは次のやりとりだ。

-どうやって時間をすごしていたのですか。

水谷 普段は本を読んでいました。

-どんな。

ここに至ってついに私は声を上げて笑ってしまった。水谷、よく怒らなかったものだ。語尾がクエスチョンマークではなくて読点になっているところにも、低いトーンのぶっきらぼうな感じが表現されていて(意図してないだろうけど)秀逸である。

-当時は日本とドイツの滞在比率はどれくらい。

水谷 ドイツが6ヵ月、あと、遠征が3ヵ月、日本が3ヵ月ぐいらだったと思います。

-疲れました。

いや、疲れたのは記者じゃなくて水谷なんだが(笑)。
その後、昨年の広州での世界選手権の話になり、水谷が、3位ではなく優勝しないとダメだという思いを語る。

水谷 (前略)卓球の人はもちろんですが、普通の人がお祝いしてくれるようにならないと・・・。

-お祝いをしてほしかったということですか。
・・・ケンカを売っているのだろうかこの記者は。
以上、実際のインタビューどおりの表現ではないと知りつつ、面白いのでツッコミをさせていただきました。インタビューは次号に続くらしいので、ぜひとも次号もこのトーンを崩さずに掲載してもらいたい。

編集部員の実力

今月発売の卓球王国に「弱さをウリにしている王国編集部」と書いたら、友さんから「そんなのウリにしてませんから!」とメールが来た。「先日もあるチームと練習試合をして叩きのめしてきた」そうだが、そのチームが年配の人だけだったのはどういうことだろうか。

まあ、卓球雑誌を作るのに実技は必ずしも必要じゃないのでいいのではないだろうか。バードウォッチングの本を書くのに鳥にならずともいいわけだし。

世界卓球の速報ブログ

いよいよ世界卓球選手権横浜大会まで約1ヶ月となった。昨年の広州大会に引き続き、今回も現地からブログで実況をする予定だ。昨年の実況は『条太の広州ぶるるん日記http://www.world-tt.com/cgi-bin/rep0802i/rep0802i.cgi』というわけのわからないタイトルにして後悔したので、今年はもっとわかりやすいものにしたい。この広州日記、アクセスを見ると、通常は1日に4,5件だが、ときどきいっき読みする奇特な人がいるらしく、いまだに1日平均10~20件を維持している。嬉しいことだ。

などと考えていたら、今朝、今野編集長から今回の速報ブログのタイトルの連絡がきた。『ブルーライト横浜速報―伊藤条太の机上の空論web express』だそうだ。「ブルーライトヨコハマ」とはあまりにも古いが、編集長の青春は大切にしなくてはならない(1968年のヒット曲だ)。『広州ぶるるん日記』よりはわずかにわかりやすいのでよしとする。

横浜での開催とあって、中華街やラーメン博物館が今から楽しみだが、それよりも楽しみなのは夜ごと繰り広げられる「高島スクール」だ。熱海の樋口先生や世界選手権の舞台裏など、どこからが誇張なのかわからないスリリングな話を想像すると、今から緊張してくる。

試合の速報と合わせてブログで報告したいと思う。

おもしろ映像

Youtubeでおもしろい映像を見つけた。

http://www.youtube.com/watch?v=GT86iWiH2mI

「沈む」という意味の英語「sink」を知っていると、とてもおかしい。出てくるのは、ドイツ人の新人らしい管制官の若い青年だ。

英語の点でいえば、私の会社は日本の会社なので、アメリカ人はみんな日本人の英語に慣れていて、カタカナ英語で発音をしてもわかってくれるし、発音が違うといって訂正することなどない。

ところが、社外の人とつきあっている奥さん方は、アメリカ人の容赦ない英語の壁に直面しているようだ。妻などは、raw fish(生の魚)と何度言ってもlaw fish(法律の魚)としか聞こえないと言われるそうだ。寿司の話をしてるんだからわかってもよさそうなものだが。また、I would like toと言うときのwouldがwood(木材、森)に、clear soup(透明なスープ)がKorea soup(韓国スープ)に、rate of birth(出生率)がrate of bath(風呂率?)にしか聞こえないと言われるそうで、いちいち眉間にしわをよせて怪訝な顔をされるという。

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