さらに訛りの話

アクセントを直すのが難しいと書いたが、私より上の世代ともなると、アクセント以前に、母音の発音すら難しくなる。

高校の卓球部の10歳上の先輩など、日本語の50音を発音することさえできなかった(もちろん今もだ)。「あ・い・う・え・お」と言っているつもりでも実際には「あ・うぃ・う・い・うぉ」となる。同様にサ行は「さ・す・す・し・そ」という具合だ。

「5時 に 駅裏 に 来い」

と言う場合、実際の発音は

「ごづ ぬ いぎうら さ こ」

となる。もちろん、本当の発音は日本語の母音の中間音なので書き表すことはできないが、もっとも近い音がこのようになる。母音の発音、アクセント、単語そのものと、彼がアナウンサーになるための道は果てしなく遠い(なるわけがないが)。

今のように方言の再評価などされる前は、方言はとにかく「悪い言葉」という扱いだった。この先輩など、小学校のとき、先生に黒板に頭をガンガンぶつけられながら「訛るな」と指導されたという。成果はなかったようだ。なんとも切ない話だ。

かつては「東北人の発音が訛っているのは舌の構造に欠陥があるのではないか」と本気で考えた学者もいたほど、発音の訛は根が深いのだ。

「し」が発音できないなんてことがあるのかと思う人もいるだろうが、フランス人など「ハ行」を発音できず、ハローと言えずにアローと言うくらいで、小さい頃に身につけないと、発音は難しいのだ。

卓球と同じだなっ!