インサニティの脅威

先日、ここドーサンの名物店である『ハンツ』というオイスターバーで宴会があった。オイスターとは牡蠣(かき)のことだが、意外にもここいらでは生牡蠣を出す店が結構ある。その中でも『ハンツ』はもっとも美味しいので有名だ。

実はハンツにはもうひとつ有名なものがある。とんでもなく辛い香辛料がおいてあるのだ。ハンツのオリジナルではないが、普通、ここまで辛いものは置いていないので、ここで飲み会をすると、いかに他人の料理にこっそりとこの香辛料を入れるかという戦いになる。この香辛料はその名も『INSANITY』つまり狂気という名前で、結構辛いものが好きな私でも、これをつま楊枝の先に1ミリほどつけたのをなめただけでしばらくは話もする気にならないほど辛い。

事情を知らない新入りには「これをつけると美味い」とだまして食べさせることになる。この日は淳くんがその犠牲となった。牡蠣につけて食べてたまらずトイレに駆け込んだが、そのすきに今度はビールに入れられ、そうとも知らずに辛さを和らげようとビールを飲んだが、飲めば飲むほど辛くなるのだからたまらない。策略に気がついたときはもう遅かった。写真左が、ビールを飲んで異常に気がついたときの様子。

写真中央は、ビール瓶をあてて唇を冷やしている様子だ。『INSANITY』は、辛いというよりは痛いのだ。それを触ってから目を触ったりトイレに行ったりすると大変なことになるという代物なのだ。それでも内容物を見ると唐辛子などとしか書いておらず、特別な人工的な化学物質が入っているわけではないようだ。唐辛子を濃縮するだけでここまで辛くなるというのは意外だ。

この日は、帰任が決まったアキラくんの送別会だったので、みんなでかわるがわる彼の料理やデザート、スプーンの裏、タバコ、はては上着の袖や襟にまで『INSANITY』を塗る始末だ。容量の小さい人なら本気で怒りそうな所業だ。用心深い人は一度も席を立たずにこの宴会を切り抜けたのだった。