何のためのマナーか

ときどき「意外なマナー違反」というような記事を見かける。
http://netallica.yahoo.co.jp/news/318670

この記事でも、飲み会で箸を逆にして取り分けるのはよくやるけど正式にはマナー違反などと書いているが、私はこういうのが理解できない。これが日本の文化を知らない外国人のために書かれているものならわかる。しかし、多くの現代日本人が知らないマナー(意外なのだから)をわざわざ違反だと指摘することにいったい何の意味があるのだろう。みんなが知らないってことは違反しても誰も不快になる人はいないわけで、それを守ることに何の意味もないではないか。かえってこの記事を読んだおかげで「ほほう、人の分まで醤油を小皿に入れてやるのはマナー違反か」と知識を入れて、なんとなく「確かに余計なお世話だな」と思って、それまで気にしていなかったことが気になるというデメリットしかない。

焼き鳥の串をそのまま口に入れて食べるのはダメで箸で串から外してから食えなどと、正気の沙汰とは思えない「正式なマナー」まで紹介されている。私はいつも分けるのに便利だから串から外して食べているが、逆に「いちいち止めろ」と友人からたしなめられるほどである。

どこのアホが考えたのかしらないが、こういう「正式にはNG」という類の根拠のないルールというのがなんとも反感を覚える。

人の行動を規定するものは「正式だから」ではなく、便利だから、こうすると他人に迷惑がかかる、不快になるから、というものだけにするべきだ。箸を逆に使うことについては、記事でも書かれているが「手で持っているところを使うことになるから不衛生」ということだけを理由にすべきであり、正式だの違反だというのは余計である。

私が考える「やられると不愉快なので人にやらないようにしていること」は以下のようなことだ。

・くちゃくちゃ音を立てて咀嚼する。
・他人のビールがちょっと減っただけでいちいち注ぐ。
・爪楊枝を使うのに両手で口元を隠す。本人がマナーだと思っているところがますます不快。
・歯にものがはさまったらしくいつまでも「ちゅぱっ」と音を立てている。うるさいから我慢しろ。
・遠慮しているわけでもない人に「食え食え」とうるさい。
・焼肉のとき、好きで肉を焼く係をやっているくせに「俺ばかり焼いていて食う暇がない」とこぼす。