フランス人と日本人

ミッシェルは日本が大好きなのだが、特に好きなところが自由なところだという。ちょうど店内にふざけたような奇妙な帽子を被っていた客がいたので、そちらを指して「日本では他人と違っても誰も気にしないし気にもされない。フランスではまわりと同じような格好をしないと白い目で見られる」というようなことを言った。これには驚いた。これは我々が通常思っていることと正反対ではないか。

「フランス人の方が個性を重んじて他人に干渉しないと日本では思われてる」と言うと、フランス人がそう見えるのはそのように装っているからで、内心はおかしな格好をしたヤツは疎まれるのだと語った。つまりこうだ。どんな社会だろうが人間は奇妙な人間には好感を抱かずむしろ敵対心を抱く。仲間ではない信号を発しているのだから考えてみれば当然だろう。ところが理性では他人の自由は認めなくてはならない。だから表向きは奇妙な格好を許容する。このようなことで、お互いに他国が自由なように見えるのだ。「日本でも変わった格好を認めるのは表向きで、内心はバカめって思ってる。だから多分フランス人と同じだよ」と教えてやった。

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